2004年7月、7枚目のシングルだ。

「馬場の忠太郎」は、まさに演歌中の演歌。このような渡世人ものというか、旅人ものというか、そういう類のものは、まさに演歌の世界だ。

この曲を聴くと、彼の歌声が、非常に力が入っているのがわかる。

これは「白雲の城」までには余り感じなかった印象で、確かに鳴りのいい伸びのある歌声に一見聞こえるのだが、それまでは違い、かなり力を入れて歌っている、という印象を抱く。

低音部から中音部、高音部など、それはどの声域にも感じる共通のもので、力強さを現すためというよりは、今までより、声帯の伸縮が少し悪くなっているように感じられる。それがこの曲に限ったことなのか、それともこの曲以降、そういう傾向が続くのかは、まだ全曲を聞いていないので、何とも言えないが、これまでの軽やかで伸びやかな明るい歌声の印象とは若干違い、重い印象を持つ。

ただ、それが単に表現の手法として使われているのであれば、何の問題もないが、そうでない場合は、声帯に負担をかける歌い方になっているように感じる。

 

氷川きよしは、長く声の調子が悪かったとどこかで聴いたように思うが、単に聞き流している時にはそのような印象を持ったことは一度もなかった。しかし、こうやって真正面から彼の歌声を聴いてみると、その時々で、彼の歌声にも変化があるのがわかる。

26歳。

肉体的成長は完全に終わり、成熟期に入ったばかりだ。

彼の歌声がどのように変化していくのか、見守りたい。