ジェジュン、4枚目のシングル。

昨年10月にオンエアされた韓国発ア「ノブレス」のテーマソングだった。当時、配信だけされたもののCD化。

配信された当時、レビューを書いたことがあるが、あらためてフルバージョンを聴き直した。

 

L’Arc-en-CielのHydeが楽曲をプロデュースしている。

楽曲構成は、A、B、サビ、A、C、B、サビ、C、D、B、サビ、B、サビ。

サビのメロディーの前には必ずBメロが挟み込まれる形になっており、エンディングのフレーズは、Bメロとサビが同時に重なり合って被って進行する形になっている。

サビのメロディーが非常に印象に残りやすく、特徴的なメロディー構成になっている為、耳に残りやすい。また繰り返されることで中毒性のあるメロデディーになっている。

その他のフレーズは、細かく音階が刻まれる形になっており、サビの伸びやかなメロディーとの対比が印象的な構成になっている。

 

ジェジュンは、この二つの音楽の対比をそのまま歌声に反映させている。

サビ以外の部分の響きは全て胸部にわざと落とした響きになっており、声帯を扁平的にして擦る形で声を発している。その為、彼の特徴である美しい響きは姿を消し、少ししゃがれた横に広がった響きになっている。

それに対し、サビの長音符を用いたメロディーの部分では伸びやかな高音を用いている。

しかし、この高音もいつもの意識的に鼻腔に響きを入れ込んでいく歌声ではなく、胸部に響きを置いたままのチェストボイスのポジションでの伸びやかな歌声になっている為、いつもの歌声に比べて全体的に扁平的な響きになっている。

 

今回、彼はロックテイストということで、今までのカバーアルバムの楽曲とは全く違うイメージの歌声を作って来ている。

おそらくHYDE氏が歌ったであろうデモテープの歌声や発音をそのまま踏襲する形になっているのではないかと感じる。

HYDE氏のどちらかと言えばストレートな響きの歌声に対し、彼の場合は、どうしても響きが柔らかくなる為、扁平的な形の響きを作るのに、声帯を擦るようにして歌うことで、いつもの彼の歌声よりも尖った印象の歌声になっていると考える。

中音域が主体のメロディー構成の響きをわざと喉に落とした喉声に近い歌声になっている。

 

彼の特徴であるハイトーンの美しい響きの形で意識的に響きを鼻腔に入れて響かせて来た歌声とは違い、少しバタ臭い歌声に作り上げて来ているのが印象的だった。

 

発声の手法を変えて音質の異なる歌声を作り上げることで、様々な色彩の歌声を作り出す高度なテクニックを持っているということを示す結果となっている。

 

一点だけ気になると言えば、言葉のタンギングである。

言葉のタンギングのエッジが甘いのが気になる。

これは彼が日本語を意識的に綺麗に発音しようすることと、綺麗な響きで歌おうとすることによって返ってタンギングのエッジよりも響きの方に意識が傾いてしまっている結果、響きが中心的になり、言葉のエッジが甘くなっていることによるものと考えられる。

響きに神経を集中させることによって子音の発音が甘くなっている。

カバーアルバムの歌が日本語が明瞭に聞こえるのは、全体的にスローなテンポのバラード曲が多かったことによる。

綺麗な響きのメロディーが印象に残り、言葉をゆっくりと追っていける楽曲が多かったので気にならないだけで、エッジだけを聞き分けると、かなり曖昧なエッジになっていることがわかる。

 

今回のROCK曲においては、カバーアルバムほどのエッジの甘さは感じられないが、いくつかの単語ではエッジが横に流れてしまっていることで、わかりにくくなっているものもある。

ただ、Cメロの部分のかなりの単語数を細かい音符の刻みに乗せて歌う部分は、上手く処理していると感じた。

このようにアップテンポの曲に於いては、尖ったエッジの発音が言葉を明確にする。その点で、少し曖昧さが残るのが気になったが、エッジの甘さをリズムの強弱を使うことで、縦のリズム刻みに上手く乗せていると感じた。

エッジを上手く使い分けれるようになると、もっと日本語が明確になる。

 

韓国人であるから日本語の発音が曖昧になるのは仕方ない、という考えもあるかもしれないが、あえてそこを乗り越えていくことで、彼の歌手としてのステージは一段上がることになると感じる。

多くの韓国人が日本活動を行っているが、彼だからこそ、この課題は消化出来ると私は思う。