10月に配信された「BOKUNOUTA」の再々配信での別バージョンのアンコール曲。
ダンスチューンをアコースティックにアレンジし直したもの。
この曲は昨年のツアーで歌い込まれているだけに、安定感のある歌声だった。
ダンスチューンでは飛びやすいメロディーの拍頭の言葉もきちんと発音されている。
この曲も再配信のときの「To me」同様、本編よりも非常にリラックスした歌声だった。
その為、声帯の反応がよくなっており、中音域の歌声がやっと前に飛んできたという印象を持つ。
今回の再々配信を聴いても、やはり声の印象は変わらなかった。
この時の歌声の1番の問題点は、中音域の声が前に飛んでこないという現象である。
彼の状態を知るのに一番いいのは、この中音域の歌声がどうなっているかだ。
状態のいい時は、ガンガン、前に飛んでくる。響きが鼻腔から外れず、額に抜けていくためにビンビン響く。
ブレスがよく入り、声量も十分だ。
それに対して、状態が悪い時は、中音域の声が一枚幕が張ったような感じになり、響きが抜けてこない。
その為、声量も落ちる。
今回、観ていて気になったのは、彼が一曲ごとに肩で息をしていることだった。
それほど身体を使わないと、声が前に飛んでいかない状況だったのだ。
メイキングの中で、「リハーサルをずっと朝からしてきて、声が心配」という発言をしているが、スケジュール調整という点で、詰め込みの感じが拭えなかった。
またスタッフと話しているときに、上半身をぴょんぴょんと飛び上がるような仕草を見せていたが、あれもブレスの支えが上がってしまって横隔膜が下がらない。即ち、うまく深いところまでブレスが入らないのを横隔膜を下げようとする動作で、それぐらいブレスが入りにくい状態を現していると思う。
彼の場合、力で押し切るタイプではなく、ブレスの流れに響きを乗せて歌うタイプであり、そういうタイプの人は、声帯の管理が重要になる。
スロースターターの彼の場合、ある程度歌い込まないと声帯がいい反応になりにくい。また短時間にガンガン歌い込みすぎると、今度は声帯が疲労して、反応が悪くなる、というタイプだ。
その為、本番前の声帯のコントロールは非常に重要になるが、日頃からコンスタントに歌っている状況がベストであり、そういう点ができていなかった事が、今回のような歌声になった原因と考えられる。
「THE LAST ON-CERT」のアーカイブも始まったので、機会をみて検証し直したいと思うが、その配信の歌声も決していいとは言えなかった。
日常的に歌える環境にいることが出来るかどうか、そういう環境を彼が選べるかどうかが、今後の彼の課題だろう。
彼は音楽的に非常にいいものを持っている。
それをどこまで伸ばせるかどうかは、彼次第だ。
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