2012年の歌声。

非常に軽快なリズムと単純でわかりやすいメロディーは、誰もが簡単に口ずさむことのできるもので、すぐに覚えられる。

おそらく12月に行われたコンサートの中の一場面なのだろう。

今から8年前の歌声だが、伸びの点から言えば、今の方がずっといい。

この歌声を聴くと、所々にかすれ気味の声があり、3年後にポリープの手術をすることになる兆候がこの頃から出ていたのかもしれないと感じた。

中・低音部の声帯のくっつきもやや悪いような感じの響きをしている。

 

それにしても、この曲を歌う彼は実に楽しそうだ。

様々な制約から開放されて、自由に伸び伸びと楽しそうに歌っている表情を見ると、彼の演歌が好きなファンには怒られそうだが、やはり彼はかなり自分というものを抑えて演歌を歌っていたのだということがわかる。

本来の彼は、もっと無邪気でピュアで可愛らしい人なのだろう。

それが「演歌」というジャンルを歌う歌手としては、線が弱い、女々しい、という評価に繋がりかねず、「男らしく」「男性的」という強いイメージからは遠く離れたものだった為、ある意味、演歌に合わせたキャラクターを演じなければならなかったのかもしれない。

だから演歌を歌う彼は、確かに非常に男らしく凛々しいが、緊張感や一種の緊迫感を感じるものになっていた。

伸び伸びと自分を表現するという解放感は感じられなかったのは、余りに彼本来のキャラクターと違ったからなのかもしれない。

凛々しさや男性らしさは感じても、彼が演歌を楽しんでいるようには感じなかった。

 

この歌はそういう点を全く感じさせない。

自由で楽しく伸び伸びとした歌声は、彼本来の持ち味が音楽に現されている。

低音部の演歌特有のうねりもこの曲には見当たらない。

非常に彼という人が、自由に表現されている一曲だ。