10月から始まった韓国のアニメを原作とするTVアニメ「NOBLESS-ノブレス-」の主題歌だ。

L’Arc-en-CielのHYDEのプロデュースによるもの。

 

非常にアップテンポで言葉数が多い。

そのせいもあってか、彼の日本語のタンギングは非常に曖昧で、何を歌っているのかわからない箇所が多数ある。

これが韓国人であるというハンディーによるものだと言いたいなら、そこは周囲のスタッフが徹底的に指導すべきだ。

ロックだから聞き取れないのは当たり前というのは大きな誤解である。

ロック特有の発音があったにしても、歌詞は聞き取れるのが当たり前で、オーディエンス達が類推したり、歌の後から追いかけて言葉を理解しなくてはいけないという状況は、ファンにとっては許せる範囲でも、それ以外の人間には馴染みにくい。

どんなに激しいハードロックであっても、歌詞の言葉が聞き取れるタンギングは、速い曲であればるほど重要になる。

 

ジェジュンの場合、デビュー当時から日本語の発音の不明瞭さが目立つ。

これは彼がオリジナル曲を歌った場合に起きている現象で、カバー曲では不明瞭さがかなり軽減される。

ということは、どういうことかといえば、彼自身の問題というよりは、彼が聴くデモテープに問題があるのかもしれない。即ち、仮歌がどのような発音やタンギングで歌われているかということだ。

 

日本語を明瞭に発音するのは、非常に彼が毎回、苦労するところ、とのことなので、やはり歌う場合の言葉の発音に関してのコーチングが必要なのではないか、と思う。

 

普段、話している時は、それほど気にならない発音の癖でも、このように歌になった時にクローズアップされるということであるなら、そこは徹底的にやったほうがいい。

なぜなら、言葉は歌の世界観を伝えるツールであり、歌詞と音楽が一体になって初めて「歌」が成立するからだ。

その世界観のイメージを作るコンテンツの片方がわかりにくければ、それはどんなに音楽が良くても大衆には広がりにくい。

人はやはり歌の「言葉」を求めてしまうからである。

 

この曲を聴いて、言葉の不明瞭さが気にならないと明言出来るのは、彼のファンだけだろう。

アップテンポの押出しの強い音楽であればるほど、言葉のタンギングの明瞭さが求められる。

 

綺麗な高音の伸びと共に印象的なサビの曲だけに、不明瞭さが非常に残念に思った。

 

始まりのAメロ、Bメロに使われているのは、太めのチェストボイス。

タンギングを意識した上でのチェストボイスの選択で、間違いはないと感じる。

但し、アップテンポのために、滑舌がついていけていない。

チェストボイスの透明的な音色がタンギングのエッジの深さを曖昧にし言葉が滑っていくために、音色的には無色透明的な響きだけが印象に残る歌声になっている。

そこからの一気にサビのハイトーンボイスは、サビの部分の前半部だけが強調されている。

声の色彩戦略的には成功していても、言葉の不明瞭さが、音楽を曖昧なものにしていて、メッセージ性が弱い。

 

そして、フルバージョンで配信されない理由を知りたいと思ったのは、私だけだろうか。(フルバージョンではないですよね?iTunesで購入しましたが)

楽曲はフルに聴いて初めて価値が出る。

一部分だけを配信して、フルバージョンはCDで発売するというのであれば、あまりいい戦略とは言えない。

 

ジェジュンの場合、韓国の事務所であるCjes、そして日本の業務提携先であるケイダッシュと自分の個人事務所であるJB’sの3つの利益がいつも交錯して分配されるために、企画のスッキリさを感じないことが多い。

先日の配信にしても、3つ巴の利益権益の影を感じずにはいられなかった。

そういうものが彼の音楽をダメにしなければいいと思った。