もう既にレビューを書いた曲だが、ライブでの彼のこの曲の歌のレビューをリクエストされて再び聴いてみた。

 

CD音源とライブでは臨場感が違う。

観客の熱気がそのまま歌い手に伝わり、それが相乗効果となってさらにいい歌を引き出す。

この曲もそういう効果が十分に見て取れる映像だった。

 

張りのある歌声はいつも通り。

この映像の頃はまだビジュアル系に転換する前であるから、当然、歌い方も演歌がどことなく漂う。

それは何度か書いてきたがフレーズの言葉の語尾の処理に現れる。

この頃は、まだ今のように響きを抜き切れていない。

響きを抜き切れないところが、演歌臭の漂う歌い方になっている。

ただ曲の特性上、Cメロからの展開部は、前へ前へと音楽を運んでいく作りになっている為、彼の歌声が少し重い。

テンポに遅れないようにしながら、言葉のフレーズの最後まで綺麗に発音しようとする為、音楽の動きがやや緩慢になり、前へ進みにくい。

これが最近の歌い方なら、もっと軽やかに音楽が運ばれていくのでは無いだろうかと想像させる部分である。

 

最後のサビからのオブリガードの力強い熱唱は、彼の特性である声の張りが十分に発揮されている。

この部分の熱唱は、会場の観客の熱気との相乗効果になっていて、CD音源は遠く及ばない。

 

昨年、演歌歌手というカテゴリーを外し、アーティストとしての道を歩み始めた彼だが、来年はもっと新しい音楽への挑戦を聴いてみたい。

 

彼が演歌というものをどのように彼の世界の中で扱っていくのか、非常に興味深い。