リクエストを頂いて、少し時期が早いのだが氷川きよしのクリスマスソングを聴いた。

この曲は2016年12月14日リリースの曲。

オリジナルのクリスマスソングだ。

 

この頃の彼はまだ演歌というジャンルの中にしっかりといて、その中でのポップス歌謡という域を脱し切れていない。

その為、言葉の処理も1つ1つの発音を語尾までしっかり響かせる演歌特有の発声になっている。フレーズの語尾が重く、音楽が今の彼の音楽に比べると全体に重い印象を持つ。

また響きを語尾の最後まで残すために、低音域に於いては、今の透明感のある響きと違い、混濁した響きが見られる。

 

氷川きよしの先日のプレミアムポップスコンサートを聴いた時も感じた印象だが、彼の楽曲にはどこかポップス歌謡の域を脱し切れない雰囲気が付き纏う。

これは彼自身の問題ではなく、楽曲を提供する側の問題で、提示される楽曲が現代のJPOPの楽曲とは異なる音楽性を持つ。これが、若い世代を今一つ、取り込めていない原因の1つなのではないかと感じる。

彼が演歌というジャンルを大切に守り続け、演歌とポップスの融合という独自路線をいく限り、若い層のファンを取り込みきれないように感じる。

せっかくここまで振り切ったのであれば、いっそ、音楽そのものも若い世代の楽曲に挑戦してみてはどうかと感じる。

あれだけのビジュアル路線を提示してきている彼が、ポップス歌謡の域から脱しきれない音楽を歌うことは、ある意味、非常に残念なことでもある。

今までの慣習や慣例を捨て、新しい楽曲製作陣と出会うことで、氷川きよしはさらに進化できるのではないかと思う。

JPOPの若手に楽曲を提供するようなクリエイター達とのコラボや、若いアーティストから提供された楽曲など、彼が歌うことで、彼独自の路線が生まれるのではないか。

そういう点で、Greeeenから提供された「蒼し」は非常に魅力的に彼の音楽を伝えている。

どんなに彼がポップスに傾倒しても、その根底には演歌が流れているのである。

あえて融合させなくとも、彼が歌うことそのものが、演歌とポップスとの融合の世界になるような気がする。

もう一皮剥けた氷川きよしの姿を見てみたいと思う。

 

そんなことを感じながら、この曲を聴いた。