冒頭の5人の歌声だけのスキャットの始まりが軽快だ。
メロディーラインを中心にして、5人の歌声が5本の線になって交錯していく。
4ビートのアップテンポのリズムの中で様々な彼女達の歌声が真っ直ぐになったり、弓形になったりしながらスキャットの中で声が飛び跳ねていく。
非常に軽い歌声が聴こえる。どこにも重さを感じないリズム感の中で、声が跳ね返っていく。
跳ね返った縦の音の線に対して、横に流れていく歌声が交錯していくことで、縦と横のハーモニーラインが強調されていく。
オクターブや二度、三度の綺麗なハーモニーが聴こえ、5つの多重構成の歌声が縦に並びながら、音楽が前へ前へと進んでいく。
「ECHO」の力強く縦に刻んでいくハーモニーとは全く異なり、非常に綺麗で澄んだ音色のハーモニー。
対照的な音色を披露する世界は、彼女達の持つ声の色、ハーモニーの色の多彩さが完全に確立され、彼女達がどの色をチョイスするかによって、音楽の世界がどのような色にでも染め上げられていく可能性を感じさせるものでもある。
スキャットがどちらかと言えば、成熟した大人の気怠さを現すのに対し、彼女達のスキャットはあくまでも若く清々しい。澄んだ音色が全体を覆い、青春の幼さを感じさせるものでもある。
若さに溢れ、前へ前へ歩いて行こうとする明るさに彩られた一曲。