2017年11月発売のアルバム収録作品ということで、彼が現在のロック・ポップステイストになる前とも言える(但し、2017年10月末に「限界突破✖️サバイバー」は発売されているので、実際には既に彼の中ではロックへの挑戦が始まっていたのかもしれない)

 

全体に非常に男臭い楽曲に仕上がっている。

歌唱スタイルも今の彼のスタイルとは全く別で、非常に演歌臭の強いものとなっている。

全体的に粘りの強い歌声で、フレーズの移動に伴う音楽の作りも横に流す形で、リズミカルな刻みよりも横に流す粘りの強い音楽になっている。

それは特に中・低音部の歌声に強く現れている。

 

この曲の中・低音部の歌声は彼が演歌を歌う時に用いる低いうねりのような扁平的で響きを潰したような音色が使われており、それが今のポップスを歌う時には全く姿を現さない歌声の一つでもある。

 

フレーズの最後まで、響きを抜かず、うねったような歌声が続く。

またその響きのままで下から突き上げるように高音部を歌う為、高音部の歌声も現在の歌声よりは幾分扁平的な響きになる。

僅かに今の歌声を連想させるものは、母音が「あ」もしくは「お」の言葉の部分であり、この言語に於いては、縦に口の奥が開かれるために、うねりが消え、綺麗な縦型の従来のストレートボイスが顔を見せている。

 

こうやって過去の映像を検証してみると、彼も歌声が近年、大きく変わってきているということがわかる。

年齢的に、歌声の変換をする時期としてはタイムリミットというよりは、この年代で歌声の転換が出来ることの方が驚きで、そういう意味で、彼の声帯は演歌を歌うことで、使っていなかった筋肉の部分がたくさんあり、それらが今、生き生きと活動し始めているのではないかという感じがする。

 

今のポップス系の歌声は、彼の元来の持ち声であるストレートボイスであり、それに比べると、演歌を歌うときの彼の歌声はかなり作り込まれた歌声という印象を持つ。

 

今後、「アーティストを目指す」という彼の歌声が、どちらの歌声をベースに楽曲を展開してくるのか、そういう見地から歌声を検証してみるのも面白い、と思った。