これも2015年9月発売。「愛しのテキーロ」の両A面曲。

これを聴くとポリープを取ったことによって彼の演歌の歌声まで変わっていることに気づく。

演歌でありながら、明るい伸びやかな音色で、こぶしはあっても低音部のうねりがない。全体に以前の歌声に比べて幅が若干細くなった分、声が若返った印象を持つ。音色が明るめで綺麗に響き、不要な擦れ音の混濁がない。

非常に綺麗な響きの明るい歌声という印象を持つ。

以前の歌声で演歌を歌う時はもっとドスが効いた太めの歌声だった。またこぶしの刻みも粗く、低音部には必ず力の入ったうねりのようなものが存在した。しかし、この歌声には、そのどれもが一切ない。

 

「男花」は男らしい演歌の世界を描いているが、その姿は非常に若々しく瑞々しいのは、若返った歌声のせいだと感じる。

 

郷ひろみも結節の手術をした後、声が若返った。

歌手生活を長く続けていく中で、加齢や声帯障害の問題は避けて通れないものでもある。

それだからこそ、セルフ管理が歌手には必要なツールだ。

それはポップスでも同じ。

手術で声が蘇ればいいが、必ずしも上手くいく場合ばかりではない。

郷ひろみは結節除去の電気メスが深く入りすぎて、元の声を取り戻すのに1年かかっている。

 

歌手という職業は声帯を酷使する職業でもある。

だからこそ、自分にあった歌をチョイスするのは、ある意味で自己防衛とも言える。

氷川きよしが本来の声を取り戻し、ポップス系に舵を切ったのも、彼の自己防衛本能なのかもしれない。

 

彼の歌声は完全に蘇り、歌手としての可能性が広まったと感じる。

この曲の歌声は現在の歌声と同じだと感じた。