2015年9月発売の28枚目のシングル。

ポリープの手術をした後、彼の歌声がどんなふうに変わったのか、ずっと興味があったが、こんなに違うとは思わなかった。

これが彼の元々の歌声であるなら、確かに過去数年録音された楽曲の歌声は、彼にすれば「声が出にくい状態だった」のは間違いない。

彼が「高音が出にくい」と感じたと話しているものを読んだりしても、私の中で、今回公開されたMVを聴く限り、手術をしなければならないほどの音声障害を感じることがなかった。

しかし、この歌声とそれまでの歌声を聴き比べれば、違いは一目瞭然である。

これほど違うとは思わなかった、というのが正直な感想である。

 

それは高音部の音色や伸びにおいては、申し分のない伸びと混濁のない綺麗な音色をしている点。

また中・低音域に関しても、一切の響きの混濁がなく、伸びと弾力性を感じさせ、何よりうねりがない。

これは演歌、ポップスのジャンルの違いを越えて、本質的に喉の障害によって、うねりが出ていたと感じざるを得ないぐらい、歌声の音色が違う。

変な例えだが、「長年のゴミ」を一掃した、という印象を持つ。

それほど歌声の鮮度が蘇っている。

混濁がなく澄み切った音色、軽く歌ってもエネルギッシュに歌っても、声帯が十分に伸縮し、歌い手の歌いたいように反応する。

その感触を彼自身が楽しんでいる、試している、という気さえする。

 

彼は「手術によって高音が戻ったので、ロックとか歌えるようになった」旨の発言をしているが、まさにその言葉の通り、彼の歌声は手術によって蘇り、歌手としての可能性が広がったと言える。

 

この曲は、そういう彼自身が楽しんで歌っている、という感じが見受けられる一曲である。