前作の「Lullaby」から8ヶ月後のソロ11作目のシングル。

今回は、前作とは全く違うアップテンポのダンスナンバー。彼の得意とするジャンル。

スピード感のあるダンスに合わせるかのように、音楽も小気味よいリズムを刻んで、前へ前へと進んで行く。

その音楽のメロディーラインに載せる歌詞のリズムも非常に細かい刻みで言葉が乗せられている。

しかし、不思議なほど、彼の言葉は明瞭だ。そして、その早い刻みの言葉が、滑らない。

彼の言葉は、気持ち良いほど、アップテンポの中で堂々と存在して、常に刻まれるリズム音を言葉の力で、前に行くのを引き止めようとするほど力強い。

すべての言葉の歌声の響きが、鼻腔にあたって、力強く響いている為に、言葉が滑らないのだ。

おそらく、殆どの歌手が、彼と同じように歌おうとすれば、かなりの腹筋と背筋を使わなければ、これほど、細かい音の羅列を綺麗に響かせることは出来ない。

この曲は、裏拍と表拍のリズムの組み合わせによる連続で、その細かい音すべてに言葉が乗せられている為に、歌手にとって、言葉の処理が非常に難しいものになる。それを彼は難なく処理している。

この曲に、三浦大知のダンスと歌の融合性によって、一つの音楽を作り上げていく力を伺い知る事が出来ると思う。

並みの歌手であるなら、力強く響くリズム音に引きずられて、音楽が前へ前へと走り出し、歌が滑ってしまうのだが、彼の場合、一切それはない。

リズムと歌のバランスが、均衡を保っているために、音楽が前に滑らない。

きちんと、伝えるべき言葉は、聴く人の耳の中に残っていく。それでいて、音楽は、絶えず前へと進んでいく。

これが、彼が、単なるダンスの上手い歌手でないと言われる所以だ。

ダンス曲となると、どうしても彼のパフォーマンスに目がいきがちだが、実は、それに勝るとも劣らない歌唱力が備わっているからこそ、彼が、印象深い存在となりえるのだということを現している一曲でもある。