この曲もテンポ感の良い楽曲。前へ前へと音楽が進んでいく。

ソロパートとハーモニーパートの音質の統一感が見事だ。

タンギング、リズム感、音色。どれを取っても申し分ない。

言葉のエッジが深く立っていて、リズムを縦に刻んでいく。

ストレートで混じり気のない響きの歌声が真っ直ぐに伸びていく。

この縦刻みのリズム感とエッジの深さが彼女達の強力な武器だ。

 

彼女達の歌声は、ストレートボイスの歌手にありがちな単色感がない。単色感がないから飽きない。

どの歌声もストレートボイスでありながら、響きに濃淡があり、それぞれの何色も持つ歌声が交錯してハーモニーの重厚感が出ている。

ソロパートをハーモニーパートがしっかり支え、多重感のあるハーモニーの世界を構築している。

 

リトグリの最大の魅力はこの多重性のあるハーモニーとテンポ感にある。

 

ハーモニーパートが決して脇役に回らない。

この曲もソロパートを際立たせると共に同じ音色の多重音でしっかりと存在を示している。それゆえサビからクライマックスにかけて音楽の響きが一層奥行きのある幅広いものとなり、真っ直ぐな声が伸びていく。

ハイトーンボイスでリズムに遅れることなく言葉のエッジを効かせて音色を統一にして歌うことは簡単に見えて非常に難しい。

彼女達の歌を聴くと、これらのことがいとも簡単に行えるように思うが、これだけのアップテンポの中でこれだけの言葉数を処理し、リズムに遅れないように仕上げるのは容易なことではない。

 

この曲は音楽が前へ前へと進んでいく。

そのテンポ感の上で彼女達の歌声は振り落とされることなく、音楽と共に進んでいく。

歌声が載ったことで音の流れが重くなることはなく、音と歌声の一体感の中で音楽が進んでいく。

音が軽いのか、と言われればそうでもなく、だからと言って重いわけでもない。

5人のバランスと音楽のバランスが程よい良さで、ちょうどのところでバランスを保っている。非常にスッキリとした世界観だ。

 

楽しい楽曲だった。