藤井風が報道ステーションに出演し、生演奏を披露した。

実は私は、彼のリアルな演奏を初めて拝見した。

その印象は、やはり23歳とは思えないほど、音楽が完成されていると思った。

非常に落ち着いた音楽が流れていく。

ピアノの弾き語りによる演奏だったが、ピアノのリズム感と歌が一体になって前へ前へと音楽が流れていく。

幼少期から、ありとあらゆるジャンルの音楽に触れてきただけあって、彼は音に対する緊迫感がなく、自然体で音楽を奏でていくという印象を持った。

 

彼の曲の根底にいつも流れているのは、落ち着いた豊かな感性だ。

「旅路」は、卒業して新たな道へと進む人達へのメッセージとして、ピッタリな楽曲だが、そこに流れるゆったりとしたテンポ感は、ピアノの演奏技術に裏づけられた基盤である。

彼の音楽がどんな場面でも揺るがないのは、この卓越した演奏技術にあると感じる。

ピアノは、歌のテンポ間に一致して、さらに一体感を作り上げ、音楽が流れていく。

この日の演奏は、シンガーソングライターとしての彼の才能を十二分にアピールしたものだと思うが、弾き語りがなくても、その大きな体から生み出されるスケールの大きな音楽は、これから、どれぐらいの楽曲が生み出されていくのかという期待感を抱かせる。

 

和製R&Bと称される彼の音楽だが、バラードもいい。

様々な引き出しを持つ彼が、これからたくさんの音楽を言葉に乗せて表現していくのを楽しみに待ちたいと思う。