リクエストを頂いて、上田正樹の「悲しい色やね」をカバーする氷川きよしの歌を聴いた。

彼らしい歌だと思った。

それは非常に歯切れの良い彼の持ち味の歌声が曲全体を覆っていると感じたからだ。

彼の歌には悲壮感がない。

上田正樹の歌にはどこか物悲しさと共に絶望感のようなものがあるが、彼の歌にはその絶望感がない。

 

また彼の歌は縦刻みのリズムがサビの部分で強調される。

潔い歌いっぷりと共に明るい色調の歌声が並ぶフレーズには、どこか希望的な感触を想像させる色調になっている。

前半の歌い出しのAメロ、Bメロが持つ暗めの色調に対して、後半のサビのフレーズからの展開は非常に明るい色調に彩られる。

この対比が彼の場合、非常に明確でスッキリした楽曲に仕上がっているのが印象的だった。

 

オリジナルの上田正樹のソウル感とジェジュンのロック感とも異なり、最もポップス的なのが氷川きよしの歌のように思った。

 

オーソドックスで正統派のポップス曲に仕上げているのが、氷川きよしの「悲し色やね」と言えるかもしれない。

 

 

※このように同じ曲を多くの歌手がカバーしている。

そういうものを集めて聴き比べの分析をするのも楽しい楽曲の聴き方の一つであり、それは音楽ライターの仕事であるかもしれない。