平井堅のカバー曲である。
平井堅のオリジナルに比べてキーが少し低くなった分、楽曲の甘さが増した。
城田優のチェストボイスの甘い響きの歌声が全編を覆っている。
少し鼻にかかった甘い歌声の発声は非常に自然で、どこにも余分な力が入っていない。
この人の特徴である曲の出だしの自然な入りが抜群に上手い。この曲の自然な入りは、この人の話し声からそのまま歌声に入っていくミュージカルで鍛えられたテクニックをそのまま感じさせる。
中盤から後半のサビにかけて少しずつ気持ちが高揚していくのに合わせるように歌声もだんだん声量を増しながらエネルギッシュに歌い上げていく。
サビの部分に使われている声は張りのある歌声であり、それまでの幅のある力を抜いた鼻腔に響かせた歌声とは音色が明らかに違い、決然とした歌声になる。
この2種類の対比のコントラストが、短い楽曲の中でもきちんと示されており、コントラストが城田優の真骨頂であるのを示している。
この曲一曲でもカバー曲の歌唱力が明らかに向上しているのがわかる。
以前はミュージカルで身につけた大きな舞台での楽曲の発声と普通の一般的な楽曲のサイズが合わず、楽曲の小ささに彼の窮屈感を覚えることが多かったが、この一年のカバー曲を歌う機会が増えてくる中で、楽曲のサイズ感に合わせて歌唱の幅をコンパクトに仕上げてくる力を身につけている。それゆえ、この楽曲に関しても綺麗に歌声や表現力のサイズが合っているのを感じる。
ミュージカル俳優という基盤を持ちながら、ソロシンガーとしての力を十分に持つ。
城田優は間違いなくシンガーとしての力量が向上している。
そう思った。
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