この曲は2013年1月に発売された韓国での初のソロミニアルバム「I」の中に収められている曲だ。

彼自身の作によるもので、数少ないダンスチューンだ。

 

こんなことを書くとファンの人に叱られそうだが、第一印象は「声が出ていない」ということ。

この曲はそれほどの高音域もなく中音域が中心のメロディーラインになっている。唯一、高音が出てくるフレーズを彼はオリジナルと違って下げた音程で歌っている為、高音域もない。それなのにこんなに声が出ていないと感じるのは、彼の歌声に勢いがないからだ。

ちょっと画面を外して声だけに集中して聴いてみるとよくわかる。

いつもの彼なら、もっと伸びやかでフレーズに勢いがある。声が前に伸びていく感じがするのに対し、この日の彼の歌声にはそれがない。

できるだけノーズポジションに音を入れようとしているのはわかる。しかし、そこに入った音が出口を失っている。その為、声が彼の顔の中に止まり、外へと出ていかない。それが伸びがないと感じる理由である。

声の勢いが感じられない為に、声量がないように感じる。歌声全体に弾力性がないのだ。

あらためて聴いてみて、こんなに状態が悪かったのかと思った。

だからTV番組などで歌う折にもボリューム不足と感じることは否めなかった。

彼の中では同じように出しているはずなのに、ブレスに声が乗らないために前に飛んでいかない。

非常に歌いにくく、あたりが悪い状態になっていたと思われる。

この映像がツアーのどの日だったか記憶にないが、ほぼ最終日に近い日程で録画されることが多いので、ツアーの疲れが出ているのも否定できないが、それにしても状態が悪すぎる、という印象を持った。

 

「Kiss B」は彼の声の状態がいい時は、もっと明るく華やかな音色になる。

声自体が飛び跳ねていて、もっとリズミカルだ。

前へ前へ音楽が進み、バンドの音が遅れるほどリズミカルに歌うのが特徴であり、もっと軽い音楽になる。

歌手の状態によって、バンドの音楽そのものも変わってくる。

この日の「Kiss B」は全体的に重く前へ音楽が回転していかない印象を持った。

 

最近の彼の歌声なら、もっといい状態で歌えていると思う。

それが残念だった。