小説「蜜蜂と遠雷」のコンサートで歌われた曲。
恩田陸の歌詞に千住明が曲をつけた。

この曲は、歌手三浦大知の今までのイメージを一新するものである
フルオーケストラの伴奏に乗って歌うこの楽曲はバラードの王道を行くものだ。
千住明の甘美なメロディーは、琴線を震わすほどロマンティックである。
そのメロディーを三浦大知の甘い歌声が歌い継いでいく。
そこにはダンスも派手なパフォーマンスも何もない。ただ歌声とオーケストラの音があるだけ。

壮大な楽曲のスケールに対し、彼の歌声は一歩もひるむことがない。
フルオーケストラの作る立体的多重的な響きの構造の中で、彼の澄んだ歌声が綺麗に弧を描いていく。
豊かな声量と表現力は、今まで彼が歌ったどのバラード曲とも違う音色を響かせている。
これほど朗々と歌い継いで行くだけの豊かな声量を彼は持っていたのだと改めて感じさせる。

途切れなく一本の太い線で歌いつないで行くことは、豊かで確かなブリージング(呼吸法)が身についていなければできない。
歌声のテクニックはどこまでも彼の歌を進化させる。

激しいダンスと共にリズミカルな歌声を披露する三浦大知と、たっぷりとした豊かな声量で一切のパフォーマンスを行わず歌だけで勝負する三浦大知。
この完成度の高い両輪を持ったことでアーティスト三浦大知の世界はさらに進化を遂げる。

フルオーケストラの音量に一歩も引けを取らずに歌いきる歌声は圧巻だ。
会場で聴いた人はたまらないほどの甘美な響きの中に身を沈めることができただろう。

この歌声がのちの「天皇御在位30周年」の歌声の基盤になっているのは間違いない。

歌手三浦大知の真髄を見たような気がした。