2012年2月発売の「櫻」のカップリング曲。

 

典型的なポップス演歌である。

彼の歌声も演歌特有の低音部のうねりやこぶしが満載の一曲。

音楽は前へ前へと明るく進み、タイトル通り、希望に満ちた春の情景を歌うものである。

最近の歌声とは大きく違う点は、低音部の響きを胸に落として作っている部分である。

低音域でも決して響きを抜かず、最後の音節まできちんと響きを作り上げて歌う点は、演歌特有のものであり、彼の歌声もそのようになっている。

 

私が参考にした動画は2012年の「きよしこの夜」だが、この時の彼の歌声を聴くとやはり少し高音がハスキー気味になっており、今のような伸びを欠いている。

この頃から声帯炎、もしくはポリープの影響があったのではないかと感じる歌声だ。

持ち味の高音部も声の鳴りが悪いように感じられ、何か炎症が起きて、声帯のくっつきが悪いという印象を持った。

また全体的に響きに混濁が見られ、今の歌声と違い、声帯の疲弊を感じさせるものである。

 

 

今まで書いてきたレビューは、CDでの音源が多かったので、この動画のようにファーストテイクではなく、完成品としての音源であり、何度も録音し直しているという可能性も無きにしもあらず、というものなので、歌手の喉の状態を知るのには、このようなライブ音源が適しているとも言える。

それからすると、氷川きよしの喉の状態は、この時には万全でなかったという事が言えると思う。

 

この曲は、そういう状態でも歌手である限り、歌い続けなければならず、その声の状態に最大限配慮したメロディー展開になっているとも感じられる。

 

いずれにしても今、彼が伸びやかな歌声を取り戻したのは、本当に良かったと感じる。