2019年「Flawless Love」のツアーでのこの曲を先にレビューを書いた2018年「The Reunion in memory」の時の歌声を比較して聴いたみた。すると明らかに2019年の方が声の状態が良くないのがわかる。

どの部分でそれを感じたかと言えば、フレーズの語尾の伸びだ。2018年の歌声では全体的にまだ伸びを感じる。フロントボイスのノーズポジションに当たる音節が多く、その音域の歌声は伸びのある歌声になっている。またブレスに乗せて歌えている為、フレーズの終わりの断ち切りの部分の響きに伸びがある。しかし、2019年の歌声には全くそれを感じない。

最初の低音域から既に響きが喉に落ちてしまって、メロディーが上向きになり音が上がっても喉に貼りついたままになる。その為、力で押さなければ声が前に飛ばない。

即ち、ノーズポジションに響きが当たっていない為に、響きの出口がないのだ。その為、声が彼の喉の中に閉じ込められている。出口を失った響きは伸びを欠き、前へ飛ばない。ボリュームがダウンし、擦れ、伸びを欠いた歌声になる。

前へ声が抜けていかない為に歌っていても非常に苦しく、それを解決する為に力で押す。響きは扁平的な深みのないひしゃげた音声になる。悪循環だ。

今回、注意深く聴き比べて、それを感じた。

即ち、彼は2019年6月の時点で既に声の調子が良くないのだ。

これはコンサート会場の音響の中では聴き取れない部分であり、こうやって映像になったものを聴き比べることで良くわかる。

 

2018年後半、彼はツアーをこなした。

その時の映像がない為にその時点での歌声がどの程度、喉に落ちているかわからない。

ただ言えることは、そのツアーで彼は多くのJPOPカバー曲を歌った。

ロックからバラードまで。

日本語のポジションが普段話しているポジションのままになっていたか、もしくは韓国語のポジションで日本語を歌っていたか、そのどちらかが、彼の発声ポジションを喉に落としてしまっていた可能性は否めない。

そういう微妙な感覚のズレは、なかなか自分では気づきにくい。

長いツアー日程の中での疲労が声帯を乾燥させ、反応が悪いと感じながら歌えば、喉に力を入れて歌うことになる。

日程的に詰まったツアーは、歌手の喉に負担をかける。

そういう疲労の蓄積が、彼の歌声に影響を及ぼしていた可能性もある。

また、彼はソロ歌手としての初めての全国ツアーだった。

それゆえ、調整やコンディションの作り方なども初体験だったはずだ。

経験値の浅さから来るコンデイションの不調がそのまま喉に影響を及ぼし、声帯の反応を悪くする。

 

日本でのツアーは、非常にコンディション作りが難しい。

そういう意味でも彼には未経験の事柄が、喉に影響を及ぼしていた可能性はある。

その感覚のまま、歌い続けるうちに、ポジションがずれてしまったのかもしれない。

いずれにしても、非常に伸びが悪く、コンディションの不調を感じさせる歌声だった。

 

このライブで他の曲がどのようになっているのかを聴いてみたい。