以前アメブロで書いた「Black Hole」のレビューを引用掲載しました。最後に今回の「ウルトラSUPERLIVE」のレビューを追記しています。

この曲から3枚目のアルバム「D.M.」の楽曲に入る。
「D.M.」は、2011年11月のリリース。前作の「Who’s The Man」から2年ぶりのリリースになる。
この2年の間に彼は歌声を変えている。
2010年8月に発売された「The Answer」で発声を大きく変えている。
アルバムタイトルの「D.M.」には”Daichi Miura”、”Dance & Music”、”Direct Message”の意味が込められているとのことだから、どの曲にも三浦大知のサインが刻まれている。即ち、まさに「三浦大知」というアーティストのすべてを知るアルバムであるという意味もあり、発声を変えて、新生「三浦大知」になったすべてが収録されているというメッセージでもあると感じる。

その一曲目である「Black Hole」を聴いた時、感じたことは、「音楽が多角的になった」ということだった。
彼の歌声もそれを支えるBGMも多重的で、立体的な音の作りを感じた。
これはコンポーズの仕方が大きく変わったことが大きな要因だと感じる。
歌もBGMも多重的で音の世界の広がりを感じさせるものになっている。
一番感じたことは、歌と音との一体感である。
それまでの楽曲が、三浦大知という歌手の「歌」を中心とした世界であるなら、この曲には明らかに歌手の歌という単一性が感じられず、音と歌との融合性の中での楽曲としての特性を感じる。

彼が歌という単一のものを提供するのではなく、歌とダンスと音との融合体に拠る「音の世界」を提供することに舵を切ったと感じさせる一曲だった。
これが彼と音楽との距離感や客観性の始まりなのかもしれない。

 

追記

「Black Hole」は2011年のアルバム「D.M」に収録された曲だ。

アルバムに収録されている歌声と今回の歌声では、やはり歌に対する習熟度が異なると感じた。

確かに2011年の歌声はエネルギッシュで力強い。発声を変えた後の歌声であり、もちろん伸びやかさもある。しかし、8年経った彼の歌声は、肩の力が抜けて楽に発声しているにも関わらず、非常に力強い。高音部のストレートボイスは尖った印象だった。それに対して低音部はソフトボイスが使われていて対比が明確にされた歌声だった。多様な歌声を持っていることを証明した歌声でもあった。

8年の間に明らかに彼の歌声は進化している。彼はライブでも過去の楽曲をよく歌うが、彼がそれらの曲を大切にしているのを感じると共に、彼自身の歌声が非常に進化しているのを感じさせる。

彼の楽曲をアルバムも含めてほとんど書いたと思うが、それにしても楽曲が多く、彼が歌手としてたゆまず歩き続けてきたことがわかる。だからこそ、10分間のパフォーマンスの中で豊富な彼の音楽の世界を披露することができるのだと思った。