三浦大知がライブが予定されていた日に自宅から1曲配信する「1Song Home Live」の14回目である

「普通の今夜のことを ー let tonight be forever remembered ー」は、作詩:吉田美和 作曲:吉田美和/中村正人 編曲:UTAというラインナップで、2017年9月に配信限定で提供された楽曲である。吉田美和が「こんな曲を三浦大知君が歌えばカッコイイだろう」という思いから生まれたという曲。

1Song Home Liveで歌われる曲はInsta.でファンに募ったリクエスト曲の中から選曲されている。

この曲も非常にリクエストが多かったと彼は話している。

 

いつものことながら彼の歌声は非常に安定している。

最近、感じるのは彼の上半身のパフォーマンスがどんどんオーバーリアクションになっていることで、彼自身が本当はその場で歌い踊りたいのだという気持ちがヒシヒシと伝わってくる。

三浦大知の音楽は「ダンスと音楽の一体感」が身上だ。この世界は誰の追随も許していない。

この楽曲でも溢れんばかりのリズム感とパフォーマンス力を感じる。

 

相変わらず綺麗に響く中音域は、澄み切った甘めの美声だ。

鼻腔に綺麗に当たっている為に甘く響く。

リズムのエッジもタンギングのエッジもそれほど鋭くない。それでも彼の刻む日本語はいつもリズミカルで、緩急も強弱もない日本語も彼が歌えば、たちまちリズミカルな言語に生まれ変わるのは、彼が言葉にリズムを与える為だろう。

 

リズムを与えるからこそ、日本語でのR&Bが可能になるのだということを彼は多くの楽曲で証明している。彼の手にかかれば、どんな平坦な日本語でもリズムを持って動き出す。

「三浦大知の日本語の新曲が普通に世界中の街角で流れるようにしたい」という発言をするぐらい彼は日本語で歌うことに日本のアーティストとして拘っている。

だから彼にかかればどんな歌詞でもリズミカルなものに生まれ変わる。

吉田美和が彼の為に作ったというだけあって、エネルギッシュな明るい楽曲になっているこの曲をさらにリズミカルで前向きな楽曲に生まれ変わらせている。

 

1Song Home Liveも残り2回。

彼のこのコツコツとした取り組みは、ファンだけでなく、ファン以外の人間も彼の音楽に触れるチャンスを生み出してきた。

この弛まぬ努力と積み重ねは、彼が実力を十分内外に認められながらもなかなかメジャーの放送媒体に載らなかった日々を思い起こさせる。

どんな日々でも淡々と自分の音楽を紡ぎ続ける姿勢は、彼の身上である。

積み重ねていくことで、どんな不遇からも脱出できる、必ず認めて貰える日が来るということを彼は教えている。

コロナでツアーの大半を失っても、明るく腐らず前を向いてレベルアップしてくる。

どんな時でもその時の自分に出来ることを考えて歩き続ける。

三浦大知のアーティストとしての強さの秘密がここにある。

どんな状況下でも安定した強さを見せる彼ならではの企画だと感じる。

 

この企画が終わった時、三浦大知はまた進化しているだろう。

その進化が後半の彼の活動の原動力になる。

どんな時も安定しているアーティストを見れることは、ファンにとってこの上ない幸せな構造である。