城田優が尾崎豊の「I Love You」をカバーした「CDTVライブ!ライブ!」を観た。

珍しく彼の歌声が胸に刺さってこない出だしだった。

 

城田優の持ち味は、歌い出しの上手さが抜群だと思う。

彼のイントロから音楽を受け取り、ブレスをするように歌い始める歌い出しは、「歌」というものを聴き手に何も感じさせないまま、歌の世界に連れていく。

この出だしが抜群に上手いと常々思っていた。

 

歌い出しから、少しずつ自分の世界に連れていく。

それはあの大きな身体に似合わないほど、そっと聴き手に寄り添う音楽だ。

徐々に自分の色を出すに連れて、フレーズに色のある響きが出てくる。

そうやって一気にサビで響きの世界に連れていく。

これが彼の歌の常套手段だと思う。

 

しかし、この日の彼の歌い出しは、珍しく精彩を欠いていた。

響きが抜けてしまって、音楽が前に進まない。

滞留しているのだ。

それは次のフレーズでも変わらず、全体に元気のない歌声の印象を抱かせた。

サビのフレーズでは、流石に芯のある響きを現したが、いつもの彼の自由で大らかな歌よりは、少し伸びを欠いた歌声になった。

以前、NHKの超深夜番組で、この曲を歌う彼の歌声を初めて聴いたが、その時はもっと気楽で自由に自分を表現していた。その時の印象とはずいぶん違う歌声になっているというのが正直な感想だった。

 

後から彼が「記憶がないほど緊張した」と呟いたのを読んで、ああ、そうだったのかと思った。

彼も緊張するタイプだとは思うが、それよりも全体の落ち着いた雰囲気の方がずっと勝った歌をいつも披露するタイプだからだ。

たまには緊張して伸びを欠いた彼の歌声も生身の人間らしくていいと感じる。

いつも落ち着いた歌で、堂々と歌う彼の歌からは、今回の歌声は意外なもので、それはそれで彼の一面を見せ、人間的魅力に感じる。

 

今日は、彼のソロアルバム「Mariage」が家に届いた。

来週は、「NINE」を観劇する。

しばらくは城田優の音楽と歌声の世界に浸って精神を癒されたい。

とても楽しみにしている。

 

アルバム「Mariage」の楽曲は、随時、レビューを書いて公開します。