三浦春馬のデビューシングル「Fright For your heart」のカップリング曲。

 

非常に艶やかで鼻腔に見事に響いた綺麗な中音域のミックスボイスが全編を覆っている。

甘く艶やかであり、ヘッドボイスへの転換もスムーズである。

特にヘッドボイスになっても声量も音色もミックスボイスのそれらと遜色がないのを聴くと、非常に訓練された歌声という印象を持つ。

 

デビュー曲を聴いた時にも書いたのだが、彼の歌声は俳優業の片手間に歌ったというものではなく、長期にきちんとしたボイストレーナーについてよく練習された歌声という印象を持つ。

 

安定した歌声であり、音程も非常に正確だ。

いくつかの色味のある音色で、甘い濃厚な響きが主流になる。

やや太めな歌声は、十分な声量が表現力を幅広いものにしている。

全体に鼻にかかった甘い歌声は、三浦春馬という俳優の魅力的な武器の一つとなっている。

 

どのようなフレーズやメロディーラインにも破綻なく対応できるのは、基礎発声がきちんと鍛えられている証拠であり、だからこそ、ミュージカルの舞台で主役が張れるという実力に繋がるのだろう。

 

低音域になるともう少し太めの歌声になりそうな予感がする。

 

彼の歌声には大きく3つの色味に分かれる。

 

太くもう少し透明的で無色に近い低音域の歌声。

濃厚で甘く艶やかな中音域。

中音域の音色をそのまま引継ぎ、さらに濃厚な色味になる高音域。

 

これら大きく分けられる3つの色彩の歌声を軸に歌が展開していく。

その中でも特に魅力的なのは、やはり甘い中音域。

 

中音域がしっかり歌える歌手は、非常に魅力的な人が多く、元々の地声であるチェストボイスの色合いを残しながらミックスボイスに変換されていることが多く、それだけしっかりしたテクニックを持つ。

歌声の要である中音域がしっかりしていることが、歌手としての命綱にもなる。

そういう意味で、三浦春馬は大きな可能性を秘めた歌手だった。

 

もっと彼の歌を聴いてみたかった。