sumikaは結成7年目のロックバンドである。
このグループのボーカルの片岡健太のファーストテイクを聴いた。
曲目は「エンドロール」
動画にも写るように非常に緊張しているのがわかる。
こんなことを書けば、非常に歌手の方には失礼なことなのだが、ファーストテイクの面白さはこの緊張感にある。
普段、バンドなどの楽器音に紛れて歌っている歌手にとって、ピアノやギターだけ、あったとしても2、3の楽器の伴奏音で歌うことは、ほぼ自分の声が丸裸になる。
音程の揺らぎ、リズムの乱れ、言葉の間違いなど、何もかもが緊張の連続だ。
しかし、この緊張を乗り越えて、どの歌手も非常にいい歌を披露する。
それは緊張感が生み出す、集中力。
緊張を乗り越える唯一の方法が集中力だからだ。
歌手は自分の歌に集中する。
音程、リズム、歌詞。
どれ一つ取っても間違えられないというプレッシャーと闘いながら歌う。
ここに非常にいい音楽が生まれる。
sumikaの片岡健太の歌声も「緊張する」と本人が言ったにも関わらず、非常にいい音を奏でている。
歌の前に発声をして、声の当たるポジションを確認している。
腹筋を使って支えを意識的に下げている。
非常にわかりやすい。しかし、それだけにこの人が正統派の発声をしているのがよくわかる。
いわゆる喉の強さで歌っているのではなく、きちんとボイストレーニングされた歌手であることがよくわかる。
MVよりもピッチが高いコードで歌われている。
それだけにこの人の高音の繊細な綺麗な歌声が丸裸になっている。
MVよりもずっと魅力的な歌声が披露される。
歌声は伸びのあるソフトで優しい綺麗な響きをしている。
ファルセットとミックスボイスのチェンジも非常にスムーズである。
ミックスボイスは綺麗に鼻腔に響いている。
高音部が非常に綺麗に伸びていく。
ミックスボイスで歌う高音とファルセットで歌う高音の2種類を持つが、どちらも綺麗に空間に音の波形を描いていく。
非常に言葉が明確で一つ一つの言葉が立っていく。
言葉のタンギングが丁寧で、大切に言葉を紡いでいく。
「愛してる」「愛してる」「愛してる、Ha〜」
サビの歌声がエネルギッシュな中に優しさが溢れているのはこの人自身の優しさが現れている。
そんな感じがした。
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