「all converge on 〝the one”」は2013年11月発売の4枚目のアルバム「The Entertainer」の最終曲である。

作詞・作曲:Nao’ymtによるこの曲はオリエンタルな曲調の独特の雰囲気を持つバラードである。

全体的に高い音域が主体になっており、単調で規則的な刻みのリズムの伴奏の上をメロディーの音楽が横へと流れている。

サビへと展開されていくメロディー部分も伴奏の形は変わらない。

縦刻みの繰り返しの伴奏の上にサビのメロディーがエネルギッシュに展開されていく。伴奏が単調なだけに歌のメロディーだけで音楽の流れを作って行かなくてはならず、歌によって音楽を前へ前へと運んでいく必要がある。

 

パフォーマンスと一体の中では、リズムや音楽の流れを作りやすいが、1 Song Home Liveでは彼の家から提供するという企画のためにパフォーマンスは基本的にはほとんどない形だ。

彼はこの企画を座って歌っているのだが、この座って歌うという行為は簡単そうに見えて、歌手にとっては結構難しくキツイものがある。特に彼のように全身を使ってパフォーマンスをしながら歌うタイプの場合、身体全体でリズムを取っている部分があり、座ったままの発声やリズム刻みもブレスなどに少なからず影響を与えることが多い。

 

この曲はそういう難しさがサビの展開部分に現れて、彼にしては珍しく、クライマックスの歌声は少し破綻気味の響きや音程になる。

突き上げたような歌声やシャウト気味の歌声、上ずり気味の音程は、全身を使えないことによる支えの不安定さを現しているように思われた。

しかし、そういうものを見れるのもご愛嬌なのではないかと思う。

いつも破綻のない客観的で完璧な音楽を提供してくる彼だから、こういう歌声を聞けるのも、生歌だからこその醍醐味だと言える。

 

 

残り一回となったこの企画も彼の言葉にもあるように、終わりに近づけば、一つのライブが終わるような気持ちになり、数ヶ月に渡って書いてきたレビューも終わりに近い。

次の曲が終われば、また三浦大知の新しい歩みが始まる。