ジェジュンVocalReview「シロド（嫌いでも）」(Flaewless Love)

2015年、ドラマ初主演作「トライアングル」の主題歌。彼自身が作詞している。

当時、久しぶりに伸びやかで綺麗な彼の歌声に出会った記憶がある。

ハスキーさが全くない歌声で、ミルクのような濃厚さと伸びやかな高音が印象的だった。

ハイトーンボイスの魅力を余すところなく伝えた歌声だった。

それまでのOSTはドラマ撮影によるコンディションの悪さからか、非常にハスキーで彼の歌声とも思えない響きのものばかりで、私はOSTというものに非常に懐疑的だった。

だが、この曲の歌声は歌手ジェジュンの魅力を十分に伝えるものだった。天に向かってどこまでも伸びていく彼の高音に久しぶりに出会った気がしたものだった。

この映像は、その曲を歌ったものだが、この日の彼の歌声は韓国語の歌にも関わらず、響きが全部、喉に落ちてしまっていて、ノーズポジションに入っていない。

その為、歌声が前に飛ばず、喉にまとわりついていて、それを彼自身、なんとかしようと歌いながら試みているのだが、どうも上手くいかないというジレンマの中で迷いながら歌っている様子が見受けられ、こちらまで胸が痛くなる。

歌手として、コンサートで自分の思うように声が出ないことほど辛いことはない。

不調の原因を探しながら、なんとか歌声を立て直そうとしている彼の中の迷いや戸惑いのようなものを歌声から感じた。

声が前に飛んでいかない中での最高音は、喉の力で下から突き上げながら押し切った、という歌声になっている。

響きが混濁して、断ち切りの部分がシャウトしたのはそのせいだ。

声帯のくっつきが悪く、乾燥した状態なのを感じる。

彼はこの時点で、完全に喉に発声ポジションが落ちてしまっていたのだと思った。

彼の歌声はこんなものじゃない。

もっと綺麗な彼のベストポジションで、この歌を聴きたいと思った。