この曲は、GReeeeNとのコラボ曲。
NHKラジオ深夜便の中で「深夜便のうた」制作スタッフによる「氷川きよしで音楽ジャンルの枠を超え、幅広いリスナーが共感できるような楽曲を制作したい」との提案から始まり、日本のポップスシーンを牽引し幅広い世代が共感するGReeeeNに、作詞・作曲を依頼することになった曲。

正直、氷川きよしがGReeeeNの曲を歌っているというのも意外だったし、JPOP曲をリリースしているということも教えられるまで全く知らなかった。

この曲を聴くと、最近のNHK「うたコン」でのJPOPカバー曲の数々を歌うことが何の不思議もないことがわかるが、「氷川きよし」と言えば、演歌界の代表選手のような概念しかなかった頃は、衝撃的だったかもしれない。(と書きながら、我が家に毎週やってくる淑女達の口からは、「最近の氷川きよしはどうなっちゃんたんだろう」とか言う驚きもまだまだあるらしく、彼の変身ぶりについて行けない淑女もいるのが現実なのかもしれない)

この曲を聴く限り、演歌の特徴は微塵も感じられない。
ストレートボイスだったんだ、と知り、ハイトーンボイスなのかと思う。そして、ビブラートがあるんだともわかる。
即ち、演歌歌手氷川きよしの歌声は、演歌を歌うために彼が努力して作り上げてきた歌声だったのがわかる。

「こぶしが滑っちゃってすみません」と情報番組「スッキリ」で「大丈夫」を歌った後に発言していたことからも、「こぶし」はつけていることがわかる。

ストレートボイスで歌われるフレーズは、彼の中・低音域の特徴をよく現している。
比較的ゆっくりとした音の動きの中で、一言一言を大切に噛みしめるように歌い継いでいく。
演歌の中で培われた「言葉の明確さ」がそのままJPOPの中でも生かされている。

また張り上げた歌声でなく、力を抜いて歌うフレーズは、まさにJPOP歌手のそれといえるものだ。
このフレーズの抜け感をどれぐらい表現できるかが、演歌とJPOPの大きな違いで、演歌歌手がJPOP曲を歌う時の最大の課題と言えると思う。
この抜け感をうまく彼はコントロールしている。
少し押し気味の低音域も、JPOP曲を数多く歌えば、自然と抜けてくるのだろう。

「碧し」は、演歌歌手からジャンルを超えた歌手へと転換していく大きな転換点の一曲なのかもしれない。

ジャンルを超えて彼がどんな音楽の世界を作っていくのか、非常に興味がある。

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