2020年の三浦大知の活動は、以下のようなものだった。

 

CD

1月15日 I’m Here

11月11日 Antelope

配信

4月19日「Be One」

6月5日「re:」

6月18日 Yours

参加作品

7月7日 綾香「ねがいぼし」

12月2日 KREVA「Fall in Love Again feat.三浦大知」

出演

10月 NHK Eテレ「ドゥーララ」

オンラインライブ

1010日、自身初のオンラインライブ「DAICHI MIURA Online LIVE The Choice is_____」

 

それぞれのレビューを参考までに掲載しておきますので、曲名をクリックするとレビューが開きます。

 

 

 

 

コロナ禍に見舞われた2020年であったが、三浦大知の活動は振り返ってみると、一年を通してコンスタントに活動が行われたという印象を持つ。

CDの発売は2枚。綾香とのコラボ曲が1枚。10月にはオンラインコンサートを野外からの中継収録で行った。

 

昨年の彼の活動の中で、私の記憶に残るものは2つ。

1つは、1月末から始まったツアーが延期、中止に追い込まれた中で、彼が自室からずーっと歌の配信を続けたことである。最初の頃、拝見した時は、カラオケのような音源でツアーが予定されていた先のホテルの一室から、急遽、取り敢えず歌った、という配信だったように思うが、その後は、ツアーの中止を受けて、ツアーが予定されていた日に、ライブで歌うことになっていた曲などを中心にきちんとした音源で、椅子に座りながらも上半身のパフォーマンスと共に、歌を届け続けた。

この配信の大きな意義は、誰でもがこの配信を観れるというところにあった。

インスタライブを使っての配信は、誰もが気軽に見ることが出来る。

そうやってツアーの最終日までの数ヶ月間、彼は地道にコツコツと配信の数を積み上げていった。

そのような配信の間にも、星野源の「うちで踊ろう」にダンスでコラボしたり、ファンからのメッセージを募集して作られた歌「ねがいぼし」を綾香とデュエットしたり、とアーティストとして、使えるコンテンツを駆使して、多くの人に音楽を提供し続けた。このような地道な活動は、彼の新たなファンを確実に獲得させている。

私の周囲でも明らかに彼のファンになった人が何人もいた。

誰もが気軽に見ることのできる媒体を使って、歌を配信するという行為は、一見、プロの歌手にはあるまじき行為のように感じるかもしれないが、自分のファン層の底辺を広げるという面では、非常に有効な手段と言える。

気軽に歌えばいいじゃないか、歌手は歌うのが仕事なのだから、と私は思う。

ファンクラブ限定の配信をしてそこにプレミア感を与えるもの一つの戦略かもしれないが、気軽に無料で自分の歌を聞かせることによって、確実にファンの裾野は広がるのである。

 

このような地道な活動の先に、オンフライン配信ライブ「DAICHI MIURA Online LIVE The Choice is_____」の成功があったと思う。

この「DAICHI MIURA Online LIVE The Choice is_____」は、多くのアーティスト達が配信ライブをホールで無観客のステージで歌ったものを配信したのに対し、彼は野外で行った。

野外で行った為に、彼の持ち味であるダンスパフォーマンスの魅力を余すところなく伝えることが出来たと思う。

渓流や山の自然の中で繰り広げられる彼やダンサーのパフォーマンスは、自然に溶け込んで、彼の持つ音楽の世界のスケールの大きさを感じさせた。

ここでも私は、彼の「球体」から感じた都会の乾燥感のようなものを感じた。

 

三浦大知の音楽には、「music」などに著される人懐こい一面と、「球体」に著される哲学的一面、そして「Antelope」に著される自然との一体感の3つの大きな空気感を感じることが出来る。

その中でも、いつも感じるものは、都会の喧騒の中の静寂だ。

彼の音楽は非常に洗練されていて、例えばニューヨークの街角のカフェで流れていても何の違和感もない。

それぐらい都会の空気に溶け込んだ音楽の一体感を余すところなく伝えている。

 

昨年一年の彼の活動は、そこにアーティストとしての音楽への強いこだわりを感じさせるものだった。

どんなにコロナ禍の中であっても「三浦大知の音楽に触れていって下さい」という彼のアーティストとしての普遍的なメッセージに裏付けられた活動だったと思う。

 

コロナを経て、ライブの形もエンターテインメントの形も大きく変わろうとしている。

今年、彼がどんなメッセージと共に、自身の音楽を提示してくるのか、興味深く見守りたい。