手越祐也の「夜に駆ける」のレビューの反応が余りにも大きかったので、他の曲も聴いてみたくなった。
その中で、興味を引いたのが、「シャルル」というボーカロイドソングだ。
「シャルル」はボーカロイドプロデューサーのバルーンこと、須田景凪が2016年に発表した楽曲。
YOASOBIの「夜に駆ける」以来、個人的にボーカロイドソングに興味を持っている。
現代のJPOPに置いて、ボーカロイドソングは、一つの重要なジャンルであり、今後、もっと主流を占めてくる可能性もある。
ボーカロイドソングは、実際に歌手は歌う場合、かなりのテクニックと広範囲な音域、さらにはボイスコントロールが要求されるジャンルと言える。
特に歌い方に於いては、あくまでもボーカロイド感を打ち消さないように、歌声の音色そのものをテクノっぽく変えることが必要でもある。その上で、軽く、歌うことが要求される。
手越祐也の「シャルル」を聴いたが、彼の歌声は、実にこれらの点を上手くクリアしてきている。
特に優れていると思う点は、低音域から高音域へのメロディー展開の中でのボイスチェンジのスムーズさと歌声のコントロールだ。
低音から高音まで一気に動いていくメロディーの中で、低音はどちらかと言えば、作られた音質という印象を持つ。本来の歌声は、中音から高音にかけての明るめの芯のある響きの歌声に対し、低音だけは、わざと響きを前に出して、少し混濁した扁平的な響きを作っている。
またもう一つ、彼の優れている点を言えば、「夜に駆ける」でもそうであったが、アップテンポの中での言葉の明瞭さだ。
この曲も後半に連れ、どんどん音楽が前へ進み、アップテンポ感が否めないが、その中で彼の歌う言葉は非常に明瞭に伝わってくる。
これはある意味、セルフカバーしている作者バルーンよりも、言葉のタンギングという点で優れている。
歌は、メロディーと歌詞の融合体である。
歌手は、メロディーに乗せて歌詞を伝える。
西洋音楽に於いて、緩急のない日本語をリズムのある音楽に載せて作られているJPOPは、如何に歌詞の言葉を明確に伝えることが出来るか、という点が大きな課題になる。
その課題を解消するのは、歌手のテクニックであり、その部分は歌手の手に委ねられているのである。
手越祐也の優れている点は、言葉を明確に伝えることが出来る、という点で、
その一点をみるだけでも、彼がきちんと訓練をしてきた歌手であることが証明されている。
「夜に駆ける」のカバーを聴いた時にも書いたのが、正直、彼がこんなに歌が上手いとは思わなかった。
おそらくどんな曲でも、かなりのレベルで合格ラインを超えてくるのではないかと思う。
事務所とのトラブルの中での活動は限定的なものになりがちだが、
腐ることなく、歌い続けていくことが、ただ一つの方法である。
彼自身が、彼自身の手で、歌手手越祐也をプロデュースしていくことが、歌手活動の可能性に繋がる唯一の方法と思える。
幸いにも今は、ネットから多くのヒット曲が生まれている。
自作曲や他ジャンルの曲に果敢に挑戦し続け、オリジナルの世界を作り上げていくことが、彼を新しい世界に連れていくだろう。
絶え間なく音楽活動を続けることを希望する。
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