2019年のツアー「Flawless Love」から日本でのセカンドシングル「Defiance」のライブ映像を聴いた。

この時の歌声を聴くと、全体的に声に艶がなくなっているのに気づく。

全体の響きがクリアでない。元々の彼の歌声である華麗さや響きの美しさ、共鳴というものが影を潜め、少しくぐもったハスキーな色彩の薄い音色が全体を覆っているという印象を持つ。

これは声帯疲労による乾燥である可能性が一番高く、中・低音域にかけての声の響きに音色がなくハスキーになっている状態はハイトーン歌手としてはかなり危険な水域にあると感じた。

このツアーが6月まで続き、その後、7月に彼は韓国に戻った。それからは韓国語の生活が始まる。即ち、話し言葉のポジションが韓国語のポジションになるということである。

これがその後、9月に日本に戻って来て以降の彼の歌声の変化に繋がっているのは間違いない。

 

現在のJPOP音楽の特徴的な傾向である高音域でのアップテンポの細かな音階の動きに対して日本語が一音符に一文字ついている、もしくは一音節に一つの言葉がついているというメロディーの動きは非常に歌手に負担を強いる。

この負担が声帯炎を発症する歌手が多発している原因であり、音声専門の耳鼻科の医師の言葉を借りれば、「もっとレガート唱法でゆっくりとしたメロディーの音楽にするべきである」という警告に繋がる。

特にハードロックに関しては、この曲もそうだが、ハイトーンボイスでの音階の移行が声帯に大きな負荷をかけることは紛れもない事実であり、このような曲を多く歌うことは、歌手の声帯に炎症を起こす誘因になると思われる。

 

彼の場合、韓国語と日本語のポジションにおいて、韓国語のポジションのままでJPOPを歌うことに大きな負荷がかかっている。さらにJPOPのメロディーの負荷、高音域の負荷と必ずしも声帯にはよくない環境が揃っているということを感じる。

 

JPOPを歌う時に声帯に負荷をかけない唯一の方法がフロントボイスポジションであり、特に高音域に於ける歌唱はエアーの流れの中で声を処理する能力がないと、声帯そのものを傷つける恐れがあるということだけは記しておきたい。

 

2018年のツアーの時点で既に彼の歌声のポジションは喉に落ちている状態だった。その後、修正されることなく歌って来た結果が高音の押したような歌い方であり、全体的なボリュームダウン、響きの混濁に繋がっていると感じる。

 

こうやってライブ映像をあらためて聴き直すと非常に歌手の状態がよくわかる。

コンサートの流れの中では聴き流してしまっている問題点があらためて浮き彫りになる。

そんな感じがした。