コメントでご指摘を頂き、ボーカリストの認識に過誤がありましたので、その部分の記事を訂正してあげなおします。
ファンの方やご本人には大変失礼なことをしました。
バンドやグループの場合、ボーカリストが複数いる場合は、音源だけで確認するのではなく、今後は映像で確認をするように致します。大変申し訳ありません。
訂正部分は赤字にしています。
昨年、一気にこのグループを世に知らしめた余りにも有名な曲。
三浦大知のファンの方が、「三浦大知さんのファンですが、最近King gnuの井口さんの歌声にも惹かれます。
タイプの違う二人の歌声になぜ惹き付けられるのかよくわかりません。一度解説をよろしくお願いします。」とコメントを下さったのでこの曲を真正面からきちんと聴いてみた。
King Gnuのボーカリストは二人。
高音部分を井口が担当し、中・低音部分をギターでボーカルの常田が担当している。
歌声を聴く限り、井口はフロントボイス。メロディーが高音域に差し掛かると、完全に抜いたファルセットのヘッドボイスになる。これもポジション的にはフロントボイスで細く綺麗な糸のような響きだ。フロントボイスのポジションになっている為、他の音が被さってきても、綺麗な響きは健在で、細い糸のような高音部が存在感を示している。
サビの部分では、1オクターブ下のパートの歌声が被さってくることで、この歌を多重的な響きに仕上げている。
サビの展開部の連結部のフレーズは、常田の歌声は地声のミックスボイス。この部分に使われている歌声は色彩のある甘い歌声になっている。
低音域から中音域にかけては常田の地声のミックスボイス。彼の歌声は色彩の濃いしっかりした太めの歌声をしている。
このように対称的な二人の声を組み合わせることで、立体的な音楽構造をなし得ている。
井口は、東京芸大の声楽出身。即ち、彼はクラシックの基礎発声を身につけた歌手であるということが言えるだろう。
彼がクラシックでどのような歌声を出していたのかは不明だが、この曲を聞く限り、彼の発声はニュークラシックと呼ばれるフロントボイスのポジションになっている。
三浦大知の歌声との比較というリクエストだったが、二人の歌声を聴く限り、これといった共通点は見つけにくい。ただ、三浦大知もフロントボイスの甘い歌声である点が似通っているが、彼の場合は、ヘッドボイスを使うことは非常に少なく、ミックスボイスであくまでも歌い切る手法を使っている。その分、井口の歌声よりも幅もあり、全体の声量という点で勝っている。
発声法が似通っているという点では、フロントボイスとは全く違う発声法の歌手も多くいることから、その手法が読者の耳には心地よいのかもしれない、という点で、二人の歌声に惹かれるのかもしれない。
昨年、話題になったバンドはいくつかあるが、ボーカリストの発声という点では、井口の歌声は今後も何の懸念も持たない発声法だということだけは言えるだろう。
バンドのボーカリストというのは、過酷なパートを担う。なぜなら、バンドの音響に負けないだけの存在感を示さなくてはならず、発声法を間違えていると長期間の活動が難しいこともある。
バンドのボーカリストは、その声が前提で曲が作られていることが多く、声が変わってしまえば曲そのもの、ひいてはそのグループの音楽そのものに大きな影響を与えるものでもある。それだけにボーカリストの歌声は、いわゆるソロ歌手よりも存在感が大きくなる傾向にある。そういう点で、King Gnuは二人の優れたボーカリストを持つ為、音楽の幅がそれだけ広がるということにもなる。
ボーカリストが歌い続けられる歌声を持つことがそのグループの音楽そのものの存在に直結しているといっても過言ではなく、昨年、話題になったグループでボーカリストの発声に懸念を感じるものもあった。
いずれにしても長く歌い続けられることが歌手の最低条件であり、その歌声が失われるとはファンは予想すらしていない。
曲のイメージは、歌手の歌声と共に記憶されるものであり、歌手が自分の歌声を守り続ける自覚を持つことが重要なポイントになる。
また昨今のJPOPの曲にありがちな高音域でもアップテンポのメロディー展開がボーカリストの喉に非常な負担をかけ、声帯の炎症を抱えるバンドのボーカリストが多いという現状は、曲を作るメンバーに少し再考を求めるものでもある。
この曲も決して楽に歌えるものではなく、早いテンポの中での細かいパッセージで上下するメロディー展開は、ボーカリストに非常な負担をかけるものである。
この早いパッセージの連続を歌うには、細い声にせざるを得ない部分がある。これだけ低音域から高音域を行ったり来たりするメロデーでは、エネルギッシュに歌うことは不可能であり、細い歌声であるからこそ、ボイスチェンジが可能であると言える。
ただ、このような曲がずっと続く場合は、ボーカリストの井口の歌声の状態に一抹の不安を感じるものでもある。
KingGnuの音楽がどのような展開を見せていくのか、今後も興味がある。