ジェジュンの韓国でのミニアルバム「愛謡」の中の1曲「脆く弱い愛を」を聴いた。

久しぶりに彼の韓国語のバラードを聴いて気づいた。

日本活動再開後の彼の歌声が変わったと感じたのは、韓国語の歌のポジションと同じになっているからだと。

 

 

「MAZE」のコメント欄にもあったが、最近の彼の歌声、特に高音が苦しそうに聴こえる、とか、東方神起時代の歌声と伸びが違う、という感想をよく聴く。

私も気になってずーっと考えていた。

彼の歌声は確かに東方神起時代の方がずっと伸びも透明感もある。さらにコメントにあるように確かに高音部が苦しそうだったり、力で押したりする歌い方になっているのはどこに原因があるのだろうかと。

 

発声ポジションが違うということだけはわかったが、以前とどう違うのか、よくわからなかった。なぜなら彼の日本語の歌は、声域によってポジションがあちこちに変わるからだ。

 

 

でもこの曲を聴いてよくわかった。

日本活動再開後の彼の発声ポジションは韓国語の歌とほぼ同じなのだということが。

だから喉の奥の開きが以前とは異なり、韓国語の母音の開きになる。

その為に単純母音しか持たない日本語の歌詞では、喉を詰めたような響きに聴こえ、また実際にそのような声帯の閉じ方になるのだと思った。(彼は日本活動再開後、「以前、日本語で歌っていた時の声の出し方を忘れないようにして覚えていた」と話したが彼の感覚と実際に出ている歌声に違いがあったということになる)

 

 

ということはさておき、この歌は非常に切ない内容とメロディーで構成されている。

平坦で静かな冒頭の始まり。

一つ一つ彼は韓国語の歌詞を丁寧に紡いでいく。

この冒頭の歌声は非常に優しくクリアで綺麗な歌声だ。混じり気のない歌声だ。

展開部に入り、少しずつ高揚した歌声になっていく。ハスキーでフレーズの最後は歌いきりの形。

さらにクライマックスになるとエネルギッシュな歌声になっていくが、この部分が以前の歌声とは大きく異なり、非常にハスキーである。

 

彼の歌声で日本語と大きく異なる部分は低音部や中音部のフレーズの音色だ。

日本語では少しピンと張った透明的で明るめの音色に対し、韓国語のこの曲では語尾まで非常にソフトで綺麗な響きだが暗めの歌声になる。また、高音部ではハスキーさが目立ち、喉を詰めた印象の歌声だ。

 

これが同じ音色で発声ポジションも同じでも日本語の曲の高音部との違いでもある。日本語ではハスキーさがほとんどない。

これは韓国語の複合母音や破裂音に対し、日本語は混じり気のない単純な5つの母音しかないことがハスキーな

歌声にならない理由と考える。

 

また、この曲を聴く限り、彼の音色に明るさはない。物悲しさや切なさがバラード曲を一層引き立てる。

 

 

「忘れられた季節」や「シロド」にはない深い哀しみの世界が広がっている。

同じように過ぎてしまった愛を歌っても、この歌にはどこか絶望が広がる。

そう感じさせる歌声だった。

 

 

彼の歌声を聴き続けて約10年。

今までで一番ハスキーさが目立つ歌声だった。

それがこの曲だけに限ったことなのか、それとも全体に彼の歌声が変わってきているのかは、今後、注意深く見守る必要がある。

 

歌手の歌声は、ファンにとって宝物のような唯一無二のものだ。

その歌声を守れるのは歌手自身だけだ。

 

 

34歳。

いつまでも彼が歌い続けれるかどうかは彼にかかっている。

歌手としての正念場の年代に差し掛かる。