アップテンポの明るい楽曲。軽い印象の楽曲。

その印象に合わせるかのように彼の歌声も深刻さはどこにもない。

軽いタッチのR&Bでバックコーラスとのハモリもテンポ感が良い。

歌詞の内容にあるように「前を向いて歩いて行こう」そのものの歌である。

 

使われている歌声はやや甘めの鼻腔に響かせた中音域が主流で、音程の高低はあるものの発声ポジションは同じである。それゆえ、音色も綺麗に統一されており、一本の線の上に音が綺麗に並べられていく。

サビのメロディーは誰もが簡単に覚えられる中毒性のある音階で、一度聴けば耳の中に残っていく。

明るい楽曲が彼の気持ちをそのまま表しているかのように、彼の歌声も非常に明るく、それは全編を通してそのような印象を持つ。

 

今回のアルバムで彼は今までのポップスのカバー曲とは違った独自のポップス色を打ち出している。

それは彼自身の中にポップス音楽への確固たるイメージを持っていることに繋がり、自分の歌声やパフォーマンスをクリエイトする力を発揮することになっている。

 

アルバム「Papillon」は氷川きよしの新しい魅力が作り出した彼の全く新しいクリエイターとしての能力を感じさせる一枚になっていると言えるだろう。