三位にはMISIAの「Everything」が入った。

この曲は、2000年10月に発売されたMISIAの7枚目のシングル。

2000年代の女性アーティストのシングルとしては最大の売上を記録している。

松嶋菜々子が主演したドラマ「やまとなでしこ」の主題歌としてもあまりに有名である。

MISIAにとっては、「忘れない日々」以来の2枚目のバラードびなる曲であり、全編、非常に甘いメロディーが散りばめられている。そのメロディーがMISIAの伸びやかな声に乗って展開されていく。

 

この曲の彼女の歌声を2001年当時の声と最近の声で聴き比べてみると、やはり声の質が変わってきているのがわかる。

2001年当初は、どちらかと言えば透明的で所々に太い響きが存在する細い歌声が主流だったが、最近の歌声は、全体の響きが非常に太く濃厚な歌声になっているのがわかる。

また大きく異なる点は言葉の処理のタンギングの部分で、2001年当初は、エッジを深く取り、一つ一つのタンギングをしっかりと口先で作っていく手法だったのが、最近では、エッジを立てずに、腹の中で発音する、言葉のエッジを腹の中で処理するという手法に変わっている。これによって、言葉よりのどちらかと言えば歌声の響きに重点を置いた歌い方になっているのがわかる。

このように20年近くが経つと、歌手の歌声は変化がハッキリ見て取れるのがわかる。

これは加齢による肉体の成熟によって、声帯の粘膜そのものが分厚くなってくるのと、声帯の伸縮の反応が鈍くなっていく為でもある。それゆえ、歌手は、年齢に伴う肉体の変化に合わせた歌い方が求められるのであって、いつまでも若い頃の出し方と同じなら、声帯そのものを故障させてしまう懸念を持つものだということになる。

 

MISIAの歌声の変化によって、この歌の表現方法が変わったのかと言えば、それほどは変わらない。前出の言葉のタンギングの処理の変化の違いだけだろう。

 

しかし、バラード曲が三位に入ってくるあたり、やはりオーソドックスなJPOP音楽は根強く人々の心を捉えている証明と言える。