ジェジュンが参加した韓国の「Wonderwall」のARTCLASSで開講されたいくつかの授業を観た。

そこには、自身の音楽観や人生観、さらに音楽の作業のプロセスを実際の曲作りをしながら提示していくという内容になっており、今まで見せたことのないミュージシャンとしての側面を見ることができる。

インタビューの内容は、東方神起から分裂したあとの音楽作りの心境や、その時抱いていた感情など、彼が今まで一切語ったことのなかった内容を話している。

その中で、興味深かったのは、「楽器が減った」という話。

東方神起の5つの楽器は、JYJになって確実に2つ減った。

この2つ減った現実を認めたくなくて、3つの楽器で同じものを作ろうとしたが、無理だったという話が非常に端的に音楽の側面を現していると感じた。

また3つから、現在の1つになった事で、彼の音楽はさらに変わり、グループでは出来なかったことが自由にやれる反面で、全ての責任は自分にあるという状況になり、音楽を生み出す苦悩も語っている。

自分の音楽を粉食屋と話し、ジャンルに捉われない、ジャンルに縛られイメージが固定化する事を避けようとするスタンスが、彼のこれからのスタンスでもあると感じた。

 

ミュージシャンが自分の音楽の作業工程を見せることは、ほぼないに等しい。なぜなら、それは企業秘密だからだ。

だから、以前、彼が初めてHyde氏に会った時に、躊躇しながらも「どうやって曲を作っているのですか」という質問をした時に、非常に親切に教えてくれたのが感激だったと話している。

それぐらい、ミュージシャンは、自分の音楽の作業工程を明かさないものだというのが一般的常識かもしれない。

 

ジェジュンは東方神起時代や JYJ時代に多くの楽曲を作ったが、それらは、商業主義の中で作った曲であり、ソロになってから作った曲はそうでないように話している。

ここに彼が最近、以前に比べて曲を作らない(発表しない)理由が見えたような気がした。

即ち、ソロとして作った曲は、彼が自分の意思で作りたいと思い、インスピレーションを受けて作った曲だが、かつてグループ時代に作った曲は、どちらかといえば、必要に迫られて作った曲、商業主義の中で作らされた曲だったということなのだろう。

 

何かを生み出す作業というのは、そう簡単なものではない。

そして、生み出したからといって、必ずしもそれが受け入れられるとは限らない。

また、自分が作りたいと思わなければ、作れないものでもある。

そういうクリエイターとしての苦悩が、彼の表情からは読み取れる。

アイドルからアーティスト、ミュージシャンへの転身。

グループ歌手からソロ歌手への転向は、彼に全くそれまでとは違う音楽の世界を生み出させるものでもあるのだという事を感じる。

 

韓国では、日本のように、一生、歌い続けれる土壌は少ない。

多くのアイドルが、入隊前までに稼ぐだけ稼いで、除隊後は、第二の人生を歩む。

グループ歌手から、ソロ歌手になって成功した例は、皆無に近く、また、トロット(演歌)歌手以外で、活躍している歌手も少ない。

そういう意味で、彼はアイドルからミュージシャンになり、ソロ歌手として歌い続けれるかどうかのパイオニア的存在になり得るかもしれない。

「これからも自分のイメージが固定化することは避けたい。何にでも挑戦したい」という彼の音楽の世界が、どのように発展し、何を彼が提供してくるのかを興味深く見守りたい。

 

日本での歌手ジェジュンと、韓国でのキム・ジェジュンは明らかにイメージが違い、歌声も歌い方も変わる。

彼が二つのものを使い分けている現状から、二つのものを融合する世界に入った時、彼しか作れないオリジナルの音楽の世界が出来上がると私は思う。

彼は、インタビューの中でも日本のXJapanや、L’Arc〜en〜Cielの影響を語り、Hyde氏と一緒に音楽の作業をすることの喜びを語っている。

彼の音楽にJPOPの音楽が影響を与えていることは紛れもない事実であり、韓国と日本の音楽の融合性を確立できるのは彼しかいないと感じる。

 

彼が今後の活動の中で、ミュージシャンとしてのポジションや世界を確立できるのかも含め、どのような展開をしていくのか、非常に興味深い。

彼の存在が日本の音楽界のなかで、多くのアーティスト達に影響を与えていくものであるのを望む。

それを楽しみにしている。