このブログの読者の方で氷川きよしのポップス系の曲をチョイスしてCDに入れて送って下さった方がいて、彼の曲を17曲聴きました。
曲目
1.あなたがいるから
2.カシスソーダを飲みながら
3.確信
4.恋初めし
5.hug
6.冬のペガサス
7.花〜すべての人の心に花を
8.かなしみのマーメイド
9.黒い鷲
10.8番目の虹の色
11.COME ON
12.100万本のバラ
13.メトロノーム
14.ありがとうの歌
15.幻
16.Jewel
17.それぞれの花のように
この中で最も印象に残ったのは、15番目の「幻」だった。
最近、演歌歌手がポップス系の曲を歌っているのをちょこちょこ見かける。
演歌歌手がJPOPを歌うのは容易いことではないというのが正直な感想だ。
なぜなら演歌とポップスでは発声が異なり、使う歌声が全く違う。
演歌歌手は基礎がしっかりしている。それゆえ、どんなジャンルのものでもそれなりに歌えると言えるかもしれない。
しかし、それはあくまでも演歌歌手が歌っているJPOPであって、そこには演歌特有の歌い方が存在する。
例えば、伸ばした音の語尾にはこぶしが自然につく。低音部は響きを平面的にして、全ての音に色を与えて響きを作る。いわゆる抜けがない。ファルセットや裏声は基本的に存在しない。
JPOPを歌うとき、どうしても演歌の音色のままフレーズを歌いがちになる。その為、特に低音域で頑張りすぎになる傾向がある。このようないわゆる演歌色をどのようにコントロールできるかが、演歌歌手のJPOPを歌う時のポイントになるように感じる。
氷川きよしも演歌歌手特有の歌い方を身につけている。しかし、この人の場合、それほどこぶしが気にならないのは、後から付けたものだからなのかもしれない。また、彼の場合のこぶしは低音域に出るのが特徴で、高音域ではほとんど存在しない。そこがポップス演歌などと揶揄される部分だろうか。
彼が歌っている楽曲をいくつも聴いてみたいと思っても、演歌ジャンルのものはなぜか殆どのデジタル音源になっておらず、CDを購入しないと聴くことが出来ないシステムになっており、私のようにファンでもない人間で、ちょっと聴いてみたいと思う人間にはハードルが高かった。
今回、ファンの方が「私の好きなポップス系の曲です」と言ってCDに編集したものを送って下さったおかげで、私は運転中に彼の歌を聴くことが出来ている。
その中で一番印象に残ったのが「幻」だった。
「幻」は調べてみると2018年8月の発売で、「限界突破サバイバー」の約1年後の発売だ。
私はなぜ、この曲が一番印象的に感じたかと言えば、それはこの曲のどこにも演歌歌手特有のテクニックが存在しないからだ。終始、彼の歌声はJPOP歌手そのもの。
ストレートなハイトーンボイスが全体を覆い、特に中音域から低音域にかけての響きが素晴らしい。いわゆる演歌特有の頑張りもなく、自然な発声や語尾の響きの抜け感は、JPOP歌手以外の何者でもない。
さらにこの曲はバラードで、非常に切なく甘い歌声が歌詞の内容をさらに切なくしている。
彼は20年を機に演歌歌手のカテゴリーを外したが、もう既に一年前には、(というより2年前の限界突破の頃には)自分の今後の音楽の方向性を決めていたのではないかと感じる歌い方になっている。
これからの彼がどんな曲を歌うのか、非常に興味深い。
そういう時期に彼の歌を聴くことが出来るのは幸せだと思った。
※
17曲の中には、他にも印象に残ったものがあります。またよく聴いて記事にしたいと思います。
ただ、今後の発売曲は是非、デジタル音源も発売して欲しいですね。(hugはデジタル音源になるようですが)