ここのところ「ジェジュンの歌声が変わった。昔の歌声の方が良かった(好きだった)」というコメントやメッセージをよく貰う。そのどれもが「ジェジュンの歌声が変わったことに関しての見解を聞きたい」というものだった。

確かにジェジュンの歌声は、以前、日本活動をしていた頃と比べると明らかにいくつかの点で変わっている。今日は、そのことについて検証してみようと思う。

はじめに断っておくことは、これから書くことはあくまでも私個人の見解であって正解ではないということである。
私はジェジュンの関係者でもなければ、直接彼の歌声を聴く立場でもないから、彼の歌声についての検証は、CDやアルバムの音源、出演した音楽番組での歌唱、そしてライブ会場で実際に聴いた歌声を元に類推するものである。そして歌声が変化したからと言って、彼の音楽性や歌唱力、音楽人としての才能を否定するものでもなく、あくまでもジェジュンという歌手の歌声の変遷について検証するだけのことである、ということを前もって書いておく。
このような記事を出すと必ずと言っていいほど、「ジェジュンを非難している」とか「ジェジュンの今の歌声が嫌なら聴かなければいい」とか「ジェジュンのそのままを応援すればいいだけ」というような捻じ曲がった解釈をする人がいるが、私は歌手の歌を分析する人間として冷静に検証するだけであって、ジェジュンの今の歌声を非難する気持ちは毛頭ない。また今の歌声がいいと思う人はそれでよく、以前の歌声の方が好きだった、という人もそれでいいと感じる。
歌手の歌声は変化する。
それは歌うという行為が人間の肉体を使っている限り、避けられないことだからだ。しかし、変化することがマイナスの面ばかりを持つのではないということも先に記載しておく。

①東方神起時代の歌声

ジェジュンの歌声が変わったと感じる人達は、この時代の彼の歌声と比較している。
まず、東方神起時代の彼の歌声は、大きく3つの期に分かれる。
それは韓国デビュー後の1年間、日本デビュー後「Sky」までの1年4ヶ月、そしてそれ以降の東方神起時代である。さらに重要なのが3人になった後、日本活動が打ち切られるまでの半年の歌声にある。この部分が現在の歌声になる大きな要因と考えられる。

これらの期の歌声については今回のセミナーの中で詳しく解説するが、簡単に言えば、韓国時代の彼の歌声は全くのチェストボイスのみ。即ち地声だけで歌っている状態にあった。
日本デビュー後、彼自身も「発声を変えた」と話している。
この「発声を変えた」というのは、発声ポジションを変えた、発声方法を変えた、という意味である。
今まで地声で歌ってきた発声の仕方を根本から変える作業をしている。
これは当時、エイベックスがジェジュンをメインボーカルにするという方針の下、プロデューサーの松尾潔氏によって指導を受けている。その時に指導されたのが、元々持っている歌声を細くカスタマイズする、ということ。
彼の元々の地声は太くそれほど音域も高音域ではなかった。それが彼の地声であり、そのまま彼はその声を使って歌っていた。(彼自身、「歌い方がわからなかった」と話している)
これが韓国時代1年間の歌声であり、高音部は明らかにファルセットで抜いた細い歌声を使っている。韓国時代のCDを聴いてみると、彼の歌声がわからない、という人も多い。それぐらい彼の歌声は今と違って存在感がない。
その後日本で発声法を指導され、「Begin」の折に「やっと歌い方がわかった」と彼は発言している。即ち、それまでの間は、彼は発声法がわからないまま歌っていたという事になる。
そして「Sky」までの間は歌声が安定しない。
元の地声のポジションになったり、新しい発声の歌声になったり、一曲の中でもフレーズごとに発声が違ったりしている。
これが「昔から練習は一切しない。活動が練習だった」と話す所以とも感じる。(しかし実際には必ず彼はどこかで一人で練習をしていたはずで、そうでなければ発声を根本からから1年2ヶ月で変えることは出来ない)

「Sky」後から2010年3月「時を止めて」までの楽曲の歌声は非常に安定している。
完全に彼がミックスボイスとヘッドボイスの唱法を身につけたことがわかる。そして多くの人の記憶に残る歌声もこの時代のものだ。
この期の歌声の特徴は、非常に透明感のある伸びやかな歌声が全体を覆っている。中・低音域はソフトな響きで安定しており、高音部は伸びやかで透明感が優っている。非常に美声だ。そして発声法的に考えた時、発声ポジションがきちんと鼻腔にハマっていて素晴らしい。(余談だが、私はよくコンサート会場に行く時、この頃の彼の歌声に合わせて運転しながら発声練習をしてから出演していた。それぐらい発声ポジションを確認するのにもってこいの発声をしていたと感じる)

そして多くの人が見過ごしがちなのが3人の日本活動の半年間である。実はこの3人になったことが彼の歌声が変わる大きな要因になったと私は考える。
即ち、5人で作るハーモニーの楽曲と3人で作るハーモニーの楽曲とでは根本的に大きな違いが生じている。それは3人には低音部を担当するメンバーがいなかったということだ。その為、楽曲のメロディーラインは、5人時代に比べて全体に3度以上、上の音域で作られている。しかも、メインパートを担ったジェジュンはさらに高音部を担当する事となった。
この状態で作られたのが唯一発売された「The…」に収録された楽曲である。
一曲目「いつだって君に」の冒頭部分の彼の歌声は非常に細く高い歌声である。
これが現在の歌声の布石になっていると考える。

②日本活動打ち切り後の韓国時代の歌声

日本活動が打ち切られた後、JYJとしての活動の中で彼はメインボーカルからリードボーカルへと担当が変わった。
メインボーカルのジュンスの歌声にハーモニーをつける為、さらに高音部を担当することになる。そうやって彼は、いつも高音部をコントロールして発声することを要求されるようになった。

声帯の特徴として、低音域はどんなに訓練しても音域が広がらないことが多い。これは、低音域を発声する時、声帯は分厚く短くなるからである。それに比べて高音域は薄く伸びることで発声される。
即ち、機能的に筋肉は短く縮むには元々ある長さ以上に縮むことは出来ないが、薄く伸びることは出来る。それゆえ低音域は持って生まれたものが主流になり、高音域は発声法の訓練次第で伸ばすことが可能な音域ということになるのだ。
そういう声帯の特徴から考えると、ジェジュンの声帯は3人になった以降、高音域ばかり伸ばす状況になっていたと考えられる。さらに韓国語で発音して歌うために日本語の時の発声ポジションとは異なり、元来の彼の歌声である太い響きの歌声に戻っていた(「WWW」や「No.X」での歌について彼は「元々の自分の歌声で歌っているのがロック」と話している。実は韓国時代にも彼が日本語の発声ポジションで歌っている楽曲が二つだけあるが、それはここでは割愛する)
そうやって彼は日本活動が打ち切られた後の8年間、誰の指導も受けずに歌い続けてきた事になる(Cjesには音楽プロデユーサーは存在しない)

③日本活動再開後の歌声

昨年、彼は日本に戻り日本活動を再開した。
「Sign」「Defiance」の2枚のシングルを発売したが、そのどちらの曲も高音部がメインのエネルギッシュな曲で韓国語の発声ポジションに近い歌声になっている。
これは、日本でのソロ歌手ジェジュンとしての歌声をどういうコンセプトで売り出すか、ということが大きく関わっているように感じる。
今のところジェジュンの歌声はハイトーンボイスを中心とした歌声で、それをメインにした歌手というコンセプトのような気がする。そのため彼が選曲する楽曲も高音部が中心のものが多く、中・低音域のメロディーが中心のものはほとんど見られない。
高音部の発声は少し太めの歌声が主流となっている。

「日本での歌声を忘れないように覚えていた」と彼は発言しているが、発声を聞く限り、元来の彼の持ち声が主流になっており、かつての日本活動時代の透明度の高い高音部とは明らかに違っているように感じる。
この違いの要因の一つには、高音域の連続する楽曲が多い為に声帯が薄く伸びて細くカスタマイズされた歌声よりも元来持つ太さの歌声の方が安定して歌えることにあると感じる。
5人時代のように短いセンテンスを歌う場合は高音部を細くカスタマイズして歌っても歌声は安定するが、ソロで長いフレーズをカスタマイズした歌声で繰り返し歌うことは、声帯自体にかなりの負担をかける恐れがあり、また歌声が安定しない懸念もある。その証拠として、アルバムに収録された「未来予想図II」や「First Love」での高音部はかなりカスタマイズされた歌声が連続する為に音色がハスキーで細くなり、喉に負担をかけて歌っていることがわかる。(「未来予想図II」に関しては、実際にライブでの歌ではもっと太く安定した歌声で歌われるようになっている)

④考察

このような技術的な側面と同時に、33歳という肉体的には成熟した年代に差し掛かっている。
かつての活動時の年齢は18〜23歳という男性としてはまだ少年期から青年期にやっと抜け出した頃の肉体的にはまだ成長期にあった時の歌声と現在とでは、自ずと違うのは当たり前の話とも言えるだろう。
しかし私はそのような肉体的な変化よりも何より、彼の発声ポジションが気になる。
彼自身が「日本語の歌を歌う時の声を覚えている」と話していることから、そのポジションを意識して歌っていることは明らかだが、客観的に聴いてみて少しポジションがずれているように感じる。
この僅かな感覚の差が実は実際の歌声にとっては大きな影響を及ぼしているように感じる。
以前のポジションに比べて、全体的に奥に引っ込んでいる。そのために鼻腔への響きがずれ、歌いにくい状況を力でカバーしているように感じる。
以前の彼はトゥワングポジションで歌えていたのが、今は喉にポジションが落ちてしまっている。その為に透明度が下がり濃厚な響きだけになっていると感じる。しかし、これは発声ポジションを変えることで以前のような歌声に戻すことは可能だと感じる。ポジションを鼻腔の前部分に持ってくることによって、透明度の高い歌声を出すことは可能になる。

また、彼が日本語の歌を歌っても透明度の高い歌声だったのは、韓国語のタンギングで日本語の歌を歌っていたことに起因する。韓国語のタンギングは、欧米と同じくトゥワングのポジションで発音される。しかし、数多くの言語の中で、日本語のタンギングはトゥワングのポジションにない。これが日本語が歌に向かないと言われる最大の理由でもある。
そういう点で、現在の彼の日本語の歌は、彼が日本語に堪能になった分、ネイティブに近い発音になり、日本語特有のタンギングになっていることが起因して、歌声が変化しているのではないかと類推する。

何れにしても、彼が、今後の楽曲をどのようなものを選択してくるかによっても、歌声は大きく変化する可能性がある。
また彼がソロ歌手として活動していく時に以前の歌声を意識して外した可能性も捨てきれない。ソロ歌手ジェジュンというコンセプトを作っていく時に、以前の歌声を踏襲しないという選択も否定は出来ないからである。

歌手という職業は、加齢との戦いでもある。
デビュー当時の歌声を如何にキープし続けるかということは全ての歌手の課題であるかもしれない。
しかし、若い頃の歌声が必ずしもいいとも限らない。
声の変化と歌手の音楽性は全く別次元の話でもある。

今の歌声がいいと彼のファンになる人もいるだろう。
そういうことも含めて、歌手活動は継続されていくことが大事であり、「歌える」「歌い続けれる」という環境が、歌手にとっては最も大切な要素であることは間違いない。

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