「Right Now」は2012年12月に発売された13枚目のシングルである。

三浦大知は2010年に自身の発声法を変えてからどんどんオリコンでの順位が上昇し、2012年の「Two Heart」が初のベスト10入りを果たしている。その次に発売されたこの曲が7位だ。

この曲はライブでも何度か聴いた曲で、ファンにとってはお馴染みの曲の一つと言えるだろう。

2012年当時の歌声と今回の歌声を聴き比べてみた。

 

先ず感じたことは8年経っているにも関わらず、彼の歌声がほとんど変わらないということだ。8年前と言えば彼は20代前半。

肉体的に青年男子として完成されたあとの成熟期の前になる。確かに今の歌声に比べて若干若いかもしれない。しかし、ほとんど変わらない。

普通、20代の歌声と30代の歌声では変わる人が多い。それは20代後半から肉体は成熟期に入ってくるからである。成熟期に入ってくると声帯も成熟した機関になり、若い頃に比べて伸縮が若干悪くなってくる。すなわち、薄く伸縮していたものが、少しずつ分厚くなっていく。そうなると歌声は透明感が減少し、分厚くなった分、濃厚な色合いが増す。その濃さが顕著になると、聴いている側の印象としては、「声が重い」「伸びが悪い」というふうになる。

しかし、彼の歌声はほとんど変わらない。変わらないどころか、現在の歌声の方が中音域の響きの当たりがよくなっている。これは彼が身につけたであろう発声法がフェイスボイスになっているからに他ならない。

フェイスボイスであれば、極端な話、60になっても伸びや透明感を失うことはない。

8年も経っても彼の歌声が変わらないのは、その証拠のような気がする。そして、彼はしっかりその唱法を身につけているのだと感じる。

 

彼が発声を変えた途端、全体に弾力のある伸びのいい歌声になったのは、誰もが感じることである。

さらに中音域の当たりが良くなり、彼が言うところの、声帯を緩める、張る、という一連の動作が非常にスムーズに行われるようになっているのは、声帯の伸縮がいい証拠でもある。

 

2012年当時の彼の許容量の中では、この曲は身の丈いっぱいいっぱいという印象を持つが、今、この曲を彼が歌うには、スケールが小さい、余裕がある、という感じがするほど、彼の中では完全に消化されている。

その余裕がダンス面にも歌面にも現れ、彼特有の「彼自身が音楽を楽しむ」という状態になっている。

 

三浦大知が過去の曲を歌い踊る時、「三浦大知が三浦大知の音楽の世界を楽しむ」というほど、客観的で完全に消化されたパフォーマンスの世界なのだ。

 

過去の曲は、三浦大知の発声法が間違っていないことの証明であり、彼の進化を感じさせるものとなっている。

 

どこまで彼は進化するのだろう。

そんな期待を抱かせながら、いつも私は彼の音楽を聴く。

彼の音楽の世界は、文句なく楽しい。

音を楽しませてくれる人である。