この曲も送って下さったCDの中にある曲だ。
これも演歌色の全くない歌声だった。
軽快なリズムの明るい曲調で始まる。
JPOPの特徴である言葉数の多いフレーズが冒頭から続く。
氷川きよしの歌の特徴の一つに言葉の明確さがある。それは、すべての言葉の音色が統一されていることにある。
この曲も冒頭から続く細かなフレーズにつけられている言葉の響きの音色が見事に整えられている。そのゆえに非常に言葉の一つ一つが立っており明確に届く。
細かなフレーズに対し、サビの部分はロングトーンの歌声がまっすぐに伸び、これも綺麗な響きで統一される。
この曲で彼は軽く明るい色調の歌声を披露している。
そこには、やはりこぶしは存在しない。ポップでストレートな歌声があるだけだ。
演歌といえば、どうしても歌い上げていく歌が多い中で、彼はポップな演歌のジャンルも確立した。
そのいい意味での軽さが、このようなJPOPの曲にも生かされた歌声となっている。
この曲の発売が2016年12月(もし間違っていたら教えて下さい)
もうこの頃には、彼は新しいジャンルへの可能性を試していたと思われる。
何れにしても演歌というジャンルを極めた歌手が、全く新しいジャンルに挑戦するというだけでも勇気と決断のいることであり、彼の中では何年もかかって出した決断なのかもしれない。
ファン層は常に新陳代謝していくことが望ましい。コアで強固なファン層とライトで流動的なファン層の二つを持つことがファン層の安定に繋がる。
可能性を常に試し続けていくことは新しいファン層の獲得に不可欠だ。
進化のない歌手はつまらない。
常に自分の可能性に挑戦し続ける。
新しいファン層を獲得することは長く歌い続けていく中で重要な転換点になる。
新しい世界で新しいファンと出会う。
そうやって氷川きよしの音楽の世界は新たな形を作っていく。
演歌とJPOPの融合。
それは彼にしか出来ない世界だと思った。