NTTドコモのプロジェクト「KAZE FILMS docomo future project」のテーマソングである新曲『grace』を聴いた。
もう既にCMでTVで耳馴染みの曲になっている。
「すべてのひとに、才能がある」という同プロジェクトのメッセージに共感した彼が書き下ろしたというこの楽曲は、MVの舞台となったインドでの自由でスケールの大きな雰囲気をそのまま楽曲から感じることが出来る。
インドといえば、その独特な風土、そして、人間の精神修行の場所として、スピリチュアルな場所として、多くの人が訪れるが、近代国家として急速に発展してきた側面の傍らで、自然の独特の土着の風習や慣習がそのまま残っている印象を持つ国でもある。
インドの持つ底なしのスケールの大きさは、近代文明に振り回されてきた人間の愚かさを嘲笑うかのように、何も変わらず、ただ存在している。
風の音楽にも、それと同じスケールの底なしの大きさを感じる。
小手先のテクニックや、CDの売り上げ、ダウンロード数や再生回数。
そんな数字とはおよそかけ離れた世界に彼自身が立っている。
底の見えない大きさ。
「ワシはワシ。やりたいように、感じたいようにやるだけじゃけん」
そんな声が聞こえてきそうな、いつもの自然体。
インドを背景にしても、ニューヨークを背景にしても、世界中のどこにいても違和感なく、そこに藤井風は存在している。
相変わらず、自然体の発声から奏でられる歌声は伸びやかで響きが良い。
そして、何も遮るものがなく、伸びやかにどこまでも伸びていく。
音楽、歌詞、そして歌声。
この3つが揃って藤井風の世界は成立する。
独特の世界観と音楽で、孤高の存在感を既に確立している。
久しぶりに聴いた彼の音楽の世界は、相変わらず、自由でナチュラルだった。
誰でにも才能はある。
すべての人に才能がある。
遮るものは、自分自身。
伸びやかな歌声から、そんなメッセージを受け取った気がした。