あー、綺麗な中音域だ。
私はこの冒頭の自然で力の抜けた彼の中音域の歌声が好きだ。
少し突き上げ気味で倍音気味な歌声よりも自然で力をどこにも入れず、スーっと歌い始める歌声が彼の歌声の中で一番好きだ。
そして彼の歌を聴くといつも感じる乾いた都会感。
この曲も高層ビルの街並みが見える。
少し曇り空の灰色の色合いに染まった都会のビル群。
雑踏の中に彼が歩いている。時々クルクル回りながら、早足気味に上体が躍動しながら歩いて行く。
そんな光景が目に浮かんだ。
彼の歌声が高音部にまで音域が伸びていったのは、共鳴ポジションを変えたのが大きい。
この歌では、そのポジションの変化によって、声の色合いが変わって行くのがよくわかる。
歌声がソフトな色合いから芯のある張った響きの色合いに変わって行く様は、水彩画から油彩画へと変わって行くようだ。
都会的な彼の洗練されたセンスが感じられる一曲だ。