城田優と言えば、大変申し訳ないが、私の中では、俳優という印象しかなかった。

その彼が、歌を歌うというのも最近知ったことで、始めて彼の歌をまともに聴いたのも、あるテレビでの歌謡祭だった。

意外だった。そして、とても甘いいい声をしている。それよりも彼の歌の中にある俳優としての経験値による表現力を感じた。

彼は、歌にのめり込むタイプではなく、歌と距離を持つ歌手のように思えた。

これから、彼の歌をたくさん紐解いてみたいと思う。

城田優は、2003年17歳でミュージカル『美少女セーラームーン』に出演するが、俳優としてデビュー。2004年渡辺エンターテイメントの若手俳優集団D-BOYSに加入。その後も順調に数々のドラマや映画に出演し、俳優としての道を歩む。その傍らで、2005年の「ミュージカルテニスの王子様」や2007年の「スウィニートッド」などのミュージカルにも出演し、着々とミュージカル俳優としての経験を積んでいく。

歌手としてのデビューは、2011年主演したドラマの主題歌と自作詞曲3曲を含むシングル「U」を発売。ソロ歌手としての活動を始動するが、歌手活動はこの1年に限り、その後も俳優活動や演出などにも精力的に取り組みながら、ミュージカル俳優としての足場を固めるという経歴で、最近は、この数年のミュージカルブームによって、音楽番組への露出が増えている。

何を言おう、この私も、そういう音楽番組に彼が出演したことがきっかけで、彼がミュージカルにたくさん出演しているということをあらためて知ったという次第。ファンの人から言わせれば、非常に失礼な話かもしれない。

しかし、彼の歌は、非常に魅力的だった。

彼の歌声の特質は、甘い響きの中音だ。バリトンで、低音部の響きは非常に綺麗だ。

癖のない発声と、癖のない響きを持つ。

また、ミュージカル歌手にありがちな絶唱型というよりは、客観的に歌を組み立てる冷静さの中に熱情を隠すタイプに見える。

いわゆるソロ歌手としての活動ではなく、ミュージカルという総合芸術の中での歌手としての経験値が長いため、いつも周囲との調和を心掛けているように感じる。

それが、彼の中の感情と上手くバランスを取っていて、非常に均衡のとれた歌を披露する歌手というイメージが強い。

今回、彼は6年ぶりにソロ歌手活動を再開し、アルバム「a singer」を発売した。

デビュー曲「U」を始めとするソロ歌手としての道のりと、ミュージカル歌手としての道のりを辿っていきながら、彼の歌の魅力を分析してみたいと思う。