NHKの「うたコン」での氷川きよしの『歌こそ我が命』の歌唱を拝見した。
今年いっぱいで無期限の活動休止を発表している。
それゆえ、「うたコン」もおそらく今回が最後の出演になるのだろう。
氷川きよしの「初めて」を振り返る、というアナウンスのもと、デビューしてNHKに初出場した映像やCDを商店街でアナウンスしながら歩くような映像があったりしたが、映像の後、感想を求められて、彼は思わず涙。涙が止まらなくなり号泣のような形になって、司会者の谷原達が慌てる、みたいな思いもかけない展開になってしまった。
おそらく彼の中にこの22年の出来事が走馬灯のように蘇り、感極まったのだろう。
「気持ちが落ち着いてからでいいです」
「ハンカチもなくて」
と、少しインターバルを取ることを司会の2人から促されても、「いや、仕事ですから大丈夫」「時間がないから」というような受け答えをして、ステージへ向かった。
冒頭こそ、まだ涙があったが、2フレーズ目からは平常心の表情に戻った。
そして、歌は全く揺るがなかった。
『歌は我が命』は、美空ひばりの名曲である。
美空ひばりは、小柄ながら、歌、音楽のスケールは非常に大きいものが多い。
それは彼女のたっぷりとした声量に起因する。
スケールの大きな楽曲をバックの音に負けないだけの声量で跳ね返す。
さらに七色の音色の歌声をフレーズに合わせて駆使する。
これらのテクニックがあるからこそ、スケールの大きな楽曲を歌いこなすことが出来る。
「歌姫」と呼ばれる所以だ。
氷川きよしが、この名曲を披露したのを聞いたのは、昨年の紅白だった。
決して下手とは思わなかったが、楽曲の大きさに少し遠慮がちに歌う部分があり、自分のものにしきれていない、という印象があったのを覚えている。
あれから約1年。
活動休止を発表してから、最近の彼のInstagramの投稿には、歌がどれほど自分にとってかけがえのないものなのか、という投稿が目立つ。
この日の『歌は我が命』には、彼の渾身の思いが込められていた。
非常に集中した、充実した、いい歌だった。
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