手越祐也とボイストレーナーで「歌唱力向上委員会」を配信している「しらスタ」こと、おしらさん（とお呼びすることにする）の即興コラボ動画を拝見した。
曲目はあいみょんの『マリーゴールド』
これを二人で即興でコラボしている。
このコラボでは、先ず手越祐也の歌声が非常に親和性が高いことに気づく。
彼の歌声は、響きのあるストレートボイス。響きが明るいのが特徴で、顔の前面でよく響いている。
響きが篭ることがない為、歌詞の言葉が明瞭になるという特性を持つ。
これに対し、おしらさんの歌声はストレートボイスだが、手越ほど響きが明るくない。ただいくつかの動画を拝見すると、綺麗で伸びやかな高音部を持っていることがわかる。中音域よりも高音域の音がよく響いているという特徴を持つ。
これらの特徴を持つ二人が今回、即興でコラボしている。
楽曲は手越とおしらさんの二人がそれぞれソロパートを歌い、サビの部分からハーモニーになる。
このハーモニー部分で、メロディーはおしらさんが取っている。
手越は終始、ハモリに回っているわけだが、これが前半はメロディーの下にハーモニーをつけ、後半はメロディーの上にハーモニーをつける方法を取っている。ここで手越のハモリ能力が発揮されているわけだ。
グループ活動を長くしてきた彼は、ハーモニーをつけるということに何の抵抗もないだろう。
これがグループ出身の歌手の強みでもある。
即ち、ソロという武器とハーモニーという武器の二つを持つのだ。
グループ時代の楽曲を申し訳ないが、勉強不足で私はほぼ聴いていない。
しかし、今回のハーモニーを聴くとわかるのは、手越の歌声が、非常に親和性が高いということだ。
親和性というのは、どんな歌声にもマッチしやすいということになる。
音質的に親和性が高いのに加えて、ハーモニーを作るときのテクニックを熟知している。
相手の歌声にどう寄り添えばいいのかということが長年のグループ活動で身についているのだ。
だから自然でナチュラルなハーモニーを作り上げることが出来る。どこにも気負いがなく、おしらさんの歌声にスッと寄り添っているのが特徴的である。
反対にメロディーを歌うおしらさんは、非常に緊張しているのが見てわかる。
いつもの伸びのある歌声が緊張で伸びやかさを少し欠いている。
しかし流石にボイストレーナーだけあって、非常に正確に歌っている。
音程やリズムの刻みなど、メロディーを歌う人間がリードしなければならない部分をきっちり歌えている。
この安定感の上に手越の寄り添うような歌声が載っているのが、今回の特徴である。
ずっとグループで活動してきた人は、ソロに転向してもハーモニーを作ることの楽しさを知っている。
それだけ音楽の幅が広がるというものでもある。
ソロ曲で自分の歌声とコラボする人も多い。
そうなるとファンにとっては、好きな人の歌声だけでハーモニーの世界が作り上げられ、堪らない魅力の世界になる。
こういうのは、グループ出身のソロ歌手の強みだ。
今回のコラボは拝見していて非常に楽しいものだった。
少し緊張しているおしらさんと、心底ハーモニーを楽しんでいる手越が即興でハーモニーを作ることの楽しみと魅力を十二分に伝えていた。
また二人でコラボするのを見てみたい気がした。
