氷川きよしのポップスアルバムが発売された。
「Papillon」はアルバムのタイトルにもある冒頭の曲だ。
ポップス曲を歌う氷川きよしの歌声は、演歌の時のそれとは違って綺麗な中音域の甘い響きから始まる。
張りのある美声はポップスではさらに磨きがかかる。またポップス曲を聴いてあらためて感じたのは彼の歌声が中性的であるということ。
これは元々の彼の歌声がそういうものだったのが、演歌という男性らしさを求める楽曲のフィルターがかけられたことによって、この中性的な音声の特徴がかき消されていたということなのだろう。
楽曲の印象によって歌手の歌声の印象が大きく左右されるといういい例なのかもしれない。
おそらく彼自身の素直な性格が楽曲に合わせて歌うことで元来持って生まれた音質を変えて歌う事になっていたのだと思われる。
今回、そのフィルターが外され、素の彼の歌声が出現したということなのだと思う。
甘く響きの混濁した歌声だ。
「Papillon」はその名の通り、「蝶」
さなぎから「蝶」になって羽ばたいていく。
演歌はアーティスト氷川きよしにとって、さなぎ時代だったのかもしれない。長いさなぎ時代を経て、大きく華麗に妖艶に「蝶」として生まれ変わり、羽ばたいていく。
そんなイメージを抱かせるこの曲は、彼の新しい歌声と唱法の魅力が満載の一曲だ。
ポップス歌手新生氷川きよしの誕生だ。