2006年3月リリースの10枚目のシングル。

この曲の歌声を聴いた時、先ず感じたのが非常に力を入れて歌っているということだった。

この曲は今までの曲と異なり、男性的で力強い楽曲になっている。それを表現するのに彼が全体の歌声全てに力を入れて歌っているという漢字を見受けられた。

特に低音域から中音域にかけて、いつも以上に押して歌っている。

演歌の唸りというものではなく、力を声帯に入れてわざと野太い声を作り上げているという感じがする。

「一剣」というタイトルからしても武士道を歌っている曲であり、力強さを表現するのに彼は歌い方を変え、鋭い歌い方で男性的なラインを表現しようとしたのかもしれないが、喉に力を入れて押して歌っている部分が声帯に負担をかけることになっていないのだろうかという気がした。

 

冒頭の歌いだしから音程を直線的に鋭角に切り取り、歌い上げていく。

声のエッジを鋭くして、さらに言葉のタンギングにも非常に力を入れ、鋭い口調で歌っている、そのため音楽は横に一切流れず、断ち切りの縦のラインが非常に強調された歌になっている。

また、どのフレーズも非常に腹に力を入れ、突き上げるような歌い方で歌っているという印象を持つ。

特に最後のフレーズなどは、日本語の言葉の母音を単独で切り取って強調する歌い方で今までの彼のイメージからはほど遠い歌声だ。

 

この曲はこの年のレコード大賞を受賞しており、彼の代表作ともいうべき一曲と言える。

しかし、私には、彼がずいぶん無理をして作り上げた声という印象が拭えない。

「演歌歌手だから男性らしくしないといけない」「もっと男らしくするのを要求された」という彼の葛藤がこういう曲にあるのかもしれないと思った。

この歌い方で楽曲でレコード大賞を受賞したというところに、彼本来の姿と世間が演歌歌手氷川きよしに求めている姿との間に大きな乖離があ流ということを感じさせる一曲だ。

 

この後、彼がどのように変遷していくのか、興味がある。