※内容に一部、ネタバレを含みますので、まだライブを観ていない方は、読むことについてご自身で判断して下さい。
三浦大知のライブツアー「DAICHI MIURA LIVE TOUR 2019-2022 COLORLESS」に参加した。
一言で言えば、もう、文句なく楽しかった。
これに尽きる。
場所は大阪フェスティバルホール。
いつもは大阪城ホールだが、今回は他のアーティストと日程が被ったのか、城ホールではなくフェスティバルだった。
このフェスティバルホールは、元々はクラシック向けに作られているホールである。その為、クラシックの演目が多いのだが、近年、実力派の歌手を中心にコンサートを開くことが多くなった。
布施明、玉置浩二、平原綾香など、歌手の中でも声量がある歌手達がこの場所でコンサートを行う。
なぜなら、このホールは、歌声が響きやすいのが特徴で、声量のある実力派の歌手にとっては非常に歌いやすいという利点があり、又、観客もその歌声の響きを十二分に楽しむことが出来るという場所だからだ。
又、ホールの作りとして、格調高いものになっており、大阪では随一のホールとも言える。
即ち、何が言いたいかと言えば、じっくり歌を聴かせる歌手には有利だが、ライブにはどちらかと言えば不向きなホールと言えるのかもしれない、ということだ。
その場所で三浦大知のライブがあるということで、一体どのような感じになるのだろうか、と思った。
一緒に行った友人も「え、フェスでやるの?城ホールじゃなくて?」
そうなのだ、動きの激しいダンスが魅力の彼にとってはステージは決して広くないだろう、ということが素人でも判断つくのである。
しかし、ライブが始まるとそんな思いはどこかに吹き飛んだ。
ステージの中央に彼だけが立っている。
スモーク気味の中に彼1人の激しいパフォーマンスからライブは始まった。
始まってしまえば一気に三浦大知の世界にホール全体が染まっていく。
彼のステージを観て、いつも思うのは、そのスピード感と次から次へと繰り出される楽曲の数々だ。
少しのMCが挟まれるぐらいで、前半はほぼ連続して歌い踊り続ける。
最初からトップギアで入ってくる。
正直、3年ぶりの本格的なライブ観戦だった。
コロナ禍の中、行ったコンサートは、座って見ることの多い歌手が中心だった。だから、ライブが始まった瞬間に立ち上がり、立ちっぱなしのコンサートは久しぶりの体験だった。だからなのか、「さあ!楽しむぞ!」という臨戦体制に身体が反応しないままだったかもしれない。
ライブが進み、彼から「皆さん、ライブはまだしばらくあるので、一度座りましょう」と促されて座ったとき、やっと自分の感覚を取り戻した、と思うほど、前半は彼のステージをどこか客観的に観ていたのに気づいた。
コロナは歌手達からも観客の前で歌う、パフォーマンスするという感覚を奪ったが、観客の側からも本来のライブを楽しむという感覚を奪ったのかもしれないと思った。
それぐらい空白期間が長かったということを改めて思わされた。
マスクをし手拍子しか声援を送ることが出来ない。
その為、ペンライトや鳴り物のグッズを取り入れるアーティストが増えているが、三浦大知の応援グッズは相変わらずタオルのみである。
自分の音楽さえ、しっかり提示すれば、そんなものがなくても観客と一体になれる、ということをよく知っているのである。
「全公演、違う曲を歌う」というカバーコーナー。
この日の曲は、絢香の『虹』だった。
彼の歌声は甘さと透明感が特徴だ。絢香のハスキー気味でパワフルな歌声とはまた違った、一つ一つの言葉を大切に歌い紡いでいく歌唱法が印象的だった。
アンコールにはもちろん最新曲の『燦燦』
ライブが始まった時から、エネルギッシュな楽曲が続く中で、この流れなら『燦燦』はアンコール曲なのだろうと予想していた通りの展開だった。
生歌での彼の『燦燦』
昨日はCDとは異なり、全体に彼の歌声は色彩が濃くパワフルさが優っていた。
フレーズの終わりに時折見せる柔らかで透明的な音色とサビの部分からラストにかけても真っ直ぐ一直線に声が伸びていくフレーズの対比が素晴らしかった。
私は彼のこの真っ直ぐに伸びていく音色の魅力が堪らない。
これほどまじりっ気なしに一直線に伸びていく歌声を持つ歌手を他に思い浮かべることが出来ない。
この歌声の特徴とこの曲のサビ「…届いて〜この歌あなたが〜」から始まる一連のフレーズ、そして「響いて〜この歌あなたへ〜」のメロディーラインが見事に一致して、音の空間の永遠の広がりを感じさせる。
彼は本当に歌が上手くなった。
こういう歌を歌わせると、おそらく今の彼の右に出る歌手はいない。
『燦燦』は歌手三浦大知の魅力をあますところなく伝える名曲であり、代表曲だ。
私が彼の楽曲の中で一番好きなもの
『music』
何が好きかって、この歌を歌い踊る時に彼が、本当に楽しそうにしているからだ。
「ほら、音楽は楽しいんだよ!」
「ほら、みんなで楽しもうよ!」
歌が、音が、飛び跳ねて世界を作っていく。
その空間に自分がいることが溜まらないのである。
これを最後の最後に聴けて、私の心は満たされた。
ステージから飛んでくるシャボン玉の粒がそのまま音の粒のようだった。
音楽は楽しむもの。
三浦大知は、それを体感させてくれるアーティストだ。