私が彼女の歌を初めて聴いたのは、2018年4月だった。ドラマ「コウノドリ」の主題歌「奇跡」

 

誰が歌っているのか知りたくて調べた。

すると彼女の名前と共に彼女がカバーした多くの動画を見つけた。それで彼女の歌声を聴きまくったのを覚えている。その時から彼女の歌声と名前は私の中でしっかり刻み込まれていた。

 

私は話題のドラマをあまり観ない、というか観る時間が取れないことが多いので、今期の「テセウスの船」も実は観たいと思いながらも結局見損なったのである。だから彼女が主題歌を歌っているということも実は知らなかった。

 

この日、彼女はTVに初めて出演するということで非常に緊張しているとコメントした。確かにコメントの声はか細く、ブレスがたくさん入った声だった。しかし、それが彼女の持ち声であることその後の歌で証明することになる。

 

私が「奇跡」を聴いた時、彼女の何に一番惹かれたかといえば、その声の透明性にあった。

確かに彼女の歌声は細い。身体を駆使してエネルギッシュに歌い上げるというタイプとは全く違う。しかし透明性と伸びのある歌声は魅力的だった。

 

今回、彼女の生歌を聴いて解ったのは、彼女が完全にフロントボイスポジションで歌っているということだった。

彼女の歌声はヘッドボイスなのか、ミックスボイスなのか、よくわからない。ただ、冒頭の歌い出し、低音域の歌声には息を混ぜた歌声が多用されており、彼女の声全体に非常にエアー(ブレス)の流れを感じる。これはフロントボイスの特徴だ。

また、中音域から高音域への転換が非常にスムーズで、どこにも力が入っていない。即ち、身体を駆使して息を放り上げて歌うというよりは、息の流れに乗せて声を飛ばしていく手法を感じる。

どこにも力が入っていず、自然体で歌う。

フロントボイスの特徴は、身体を駆使しなくてもポジションに入れさえすれば声が鳴り、エアーをしっかり送ればどこまでも声が飛んでいくということだ。そのポジションを彼女は見事に掴んでいると思った。

 

彼女の歌声は、低音域では無色に近くソフトだ。中音域から高音域にかけて色味が増し、ピンと張ったストレートボイスになる。

その色合いの変化、声の濃淡が非常に澄んでいて綺麗な音色をしている。

 

「緊張すると思います」と話した彼女の声は心なしか震えていても、歌では綺麗に鳴り響いていた。

 

久しぶりに綺麗な歌声の歌手に出会ったと思った。

 

参考に2018年に書いた彼女の「奇跡」のレビューを貼っておきます。

興味のある方は、読んでみて下さい。

Uru VocalReview「奇跡」