リトグリの芹奈が活動休止を発表して半年余り。その間、4人でその場所を守り続け、4人のリトグリとして新しいハーモニーも提示し続けてきたが、今回の曲から芹奈が復帰した。
アーティストの休養というものは、充電期間という形で時折発表されることがあるが、最近ではそういう遠回しな言い方を辞めて、ハッキリと病状を公表することが増えた。
精神的な病状は回復に非常に時間を伴うものが多い。アーティストの場合、感性が鋭いが故に音楽の分野で才能を発揮する人が多く、その感性が芸能界という世界で傷つくことは多々あることであり、それでも歌い続けていかなくてはならないというのが歌手という職業でもある。
休養というものは、単純に肉体的精神的に休息を与えるというものだけでなく、それまでの自分の活動を振り返る時間を与えられるものでもある。そんな中で芹奈の表現方法が変化してくることは意外でもなんでもないことだとも言える。
おそらく半年の休養によって活動や芸能界から一旦離れたことで、彼女の中で何かがリセットされたのではないだろうか。それは同時に、新生芹奈の誕生を意味するものでもある。
その歌声を加えたリトグリのハーモニーが新しい色彩を持つのは、グループとしての新しい章の始まりを意味している。
リトグリのハーモニーは、これまでのイメージとして、非常にエネルギッシュ、多重的なハーモニー、アグレッシブな音楽というものがあった。しかし、今回のこの曲に関しては、非常に繊細なハーモニーの美しさというものを感じさせる。冒頭から繰り出されるソロパートの音色は、どれも非常に繊細な色彩感のある歌声である。
芹奈の持つ繊細な色調に他のメンバーの色調も同調している。そうやって統一感のあるハーモニーが出来上がっており、今までの楽曲に多かったアグレッシブでエネルギッシュな色合いというものは、今回は影を潜めている。
今回のことを通して、リトグリのハーモニーはさらに新たな色調を加え、今までの明るいメッセンジャー的な色合いから一層、アーティスト感の溢れたものに進化したと言える。
どれだけの色合いと、パフォーマンス力を持っているか、それが常に枯渇しないように提供し続けるアーティストの世界で、今回の進歩は重要な意味を持つと言えるだろう。
少女の色合いから、女性へと成熟していく過程を今、私達は体感している。